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子育てさがし 共同通信がママ・パパ・家族をつづった子育て物語です。

「ふろしき王子」の横山功さん

身近に自然とつながりを 未来のために

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横山功さん=東京都小平市

  「ふろしき王子」という肩書で、風呂敷のさまざまな使い方を紹介している横山功さん(30)は、生後4カ月の長男虎之介ちゃんの新米パパ。子どもの未来のために自然と触れ合う場所づくりを、身近なところから実現したいと考えている。

 ▽生活の一部
 風呂敷に出会ったのは21歳の春。自分の部屋の押し入れを整理したところ、捨てずにいつか使おうと取っていたコンビニエンスストアのポリ袋や箱、包装紙が山のようになった。
  「それまでは弁当を包むバンダナぐらいしか使ったことがなかったんです。箱や包装紙は大抵捨てられて、すごいごみの量になる。捨てられないものは何だろうと考えた時に、布なら捨てられないんじゃないかと思いました」

 祖母に風呂敷を2、3枚もらい、本で使い方をいくつか覚えた。それまで使っていたリュックサックを風呂敷に変えて1週間ほど一人旅をしたところ、便利で快適。とりこになった。げたや着物など日本の伝統的なものにも興味は広がった。今では着物を着るのが日常で、風呂敷一枚がその場に応じて、買い物袋やきんちゃく袋のほか、自分で新たに使い方を見つけた手袋などさまざまな姿となり、生活の一部となっている。
  「軽いし、必要ない時は折り畳んでしまえる。失敗してもほどけばいいし、応用が利くので、自分で使い方を生み出すのが楽しいんです」
  「僕は和ものが好きだから使っていますが、こだわる必要はなくて、洋ものでも、子ども向けのキャラクターものでも自分の好きな柄で作ればいい。昔のいい物を自然に取り入れて、より進化できる使い方をすればいいと考えています」

 武蔵美術大を卒業後、風呂敷の使い方を紹介するワークショップを始めた。「ふろしき王子」という肩書は「○○王子」というフレーズが流行していたころ、風呂敷の活動を知っていた知人に「あなたはふろしき王子だね」と言われたのが何となく頭に残り、イベントで肩書を聞かれた時に答えたのがきっかけ。
 ワークショップでは、最初に基本の結び方だけを教えて、買い物袋を自分で考えて作ってもらう。それぞれが作ったものを比較して、よりよい結び方や作り方を教える。工夫する楽しさを知ってもらい、考えることで覚えてもらいやすくするためだ。主催者にもよるが参加費は約2000円で、呼ばれれば全国各地に行く。
  「高校の服飾科にも行きましたが、面白がってくれて『もっと早く知りたかった』という感想が多かったです。若い世代は知らないだけで、昔のいい物は素直に受け入れられるんじゃないかな」  

 ▽こだわりすぎずに
妻の亜希子さん(36)と2009年に結婚。妊娠後はなるべく自然に生みたいと、自宅から3時間かけて、出産に対する理念が気に入った病院に通うなどこだわってきた。予定日が近づけば病院の近くのホテルに滞在することも考え始めた10年1月、亜希子さんの陣痛が始まり、自宅前の救急車の中で虎之介ちゃんが生まれた。
  「近くの病院では産みたくないとか、子どもがホテル滞在のためのお金のことを気にして、親の心情を酌んでくれたのかもしれませんね(笑)。それからはこだわりすぎなくてもいいのかな、子どもからのメッセージと受け止めながら、流れに逆らわずに育てていきたいと思うようになりました」

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絹などの生地で作ったふろしきのおくるみで虎之介ちゃんを抱く=東京都小平市

 自宅でイラストを描くなどの仕事をしていることが多いので、掃除や料理のほか、布おむつを替えるなど大抵の家事、育児はこなす。
  「子どもはちょっとでも不快なことがあれば、泣いたりして反応がある。その反応でつながっていると安心します。子どもは、世話することは必要なんですけど、未熟な存在ではないんじゃないかと思う。夫婦を幸せな気持ちにしてくれたり、教えてくれるんですから」
  「自分がちゃんとしていたら、まねをして育つんじゃないかと思うので、日々を淡々と歩んでいければいいですね」

 風呂のおけやいす、たらいは木製。これから使う予定のおまるは、職人による木のオーダーメードで、ちょっとしたこだわりだ。
  「大きくなってその後に自分で選ぶのは任せるけど、最初は伝統的で長く使えるものに触れさせたい」

 東京・浅草、明治創業の菓子道具屋で生まれ育った。周りには好きな草花や生き物がおらず、絵を描いてまぎらわしていた。身近に生き物がいる環境にあこがれ、実家の屋上に小さな田んぼを作ると、クモ、テントウムシ、バッタなどが集まってきた。今住んでいる東京都小平市の自宅は、雑草が生い茂る空き地が目の前にあるのが、気に入って決めた。

  「僕が作った田んぼが生き物に選ばれたように感じてうれしかった。今は自然と触れ合うには、遠出しなきゃできない。でも身近なところから、小さくても自然がある環境をつくれば、それに触れ合うことで多くの人が共感してくれるかもしれない」
  「子どものときは、近所の公園で町内会の青年部がすいか割りともちつきをやっていて、いい思い出です。今住んでいるところでもそういうことをやりたいなと思っています。親の好みだけで分けずに、いろいろな人と出会うことで深くて大きい人間になるんじゃないかな」

 祖父から「小さいころは水がきれいで、東京湾や隅田川の底を見ながら泳いだ」と聞かされた。身近なところから人、自然とのつながりを深めて共感を広げ、いつか虎之介ちゃんときれいになった東京湾を泳ぐのが夢という。(共同通信デジタル編集部、10年5月11日配信)
 
 
▽横山さんの1日
 07:00 起床、掃除、朝食
 09:00 自宅でイラストを描くなど仕事
 12:00 昼食
 13:00 仕事
 15:00 散歩
 18:00 夕食、仕事
 21:00 風呂
 22:00 家族が川の字で就寝



横山功(よこやま・いさお)さんの略歴

 1979年、東京都生まれ。学生時代に風呂敷の便利さを知り、武蔵美術大を卒業後、イラストや執筆の傍ら、風呂敷の使い方を紹介するワークショップを開いている。今年1月に長男虎之介(とらのすけ)ちゃんが生まれる。ブログはhttp://blog.goo.ne.jp/isamix99


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