47NEWS >  47特集 >  ママパパ繁盛記 >  子育てさがし >  NPO代表の浅野純子さん

子育てさがし 共同通信がママ・パパ・家族をつづった子育て物語です。

NPO代表の浅野純子さん

産みたい人が産める社会に 自身も子ども待ちわびる

47honbunasano.jpg
浅野純子さん=東京都港区

 女性の社会復帰の難しさに疑問を持ち、起業をした浅野純子さん(33)は、産みたい人が安心して産める社会にするのを目標にする特定非営利活動法人(NPO法人)「第3次ベビーブームプロジェクト推進委員会」を昨年設立した。自身も子どもに恵まれる日を待ちながら、産めないとされるさまざまな要因を一つでも取り除ければと活動している。

 ▽就職活動が起業活動に
 米国の大学在学中に公認会計士の資格を取り、卒業後にニューヨークで働く予定だったが、同時多発テロがあり帰国。投資会社に勤務し、常に仕事のことを考えるほど忙しくやりがいもあったが、出産後も仕事を続けるイメージがわかなかった。
 「職場の同僚は男性ばかりだったので、ここで子どもを産んで仕事を続けている自分が想像できなかった。子どもができたら辞めなきゃなぁとは漠然と思っていました」
 
 子育てしながら働ける環境を求めて退社し、06年4月にドイツ人の男性と結婚。就職活動を始めたが書類で落とされることがほとんど。数少ない面接でも「子どもを産んでも続けられるか」を聞くと、担当者は「そんなことをよく聞くね」と重い雰囲気になり、採用には至らなかった。出産を視野に入れた場合に、就職のチャンスが少ないことに疑問を持ち、同年11月に仕事と子育てを目指す女性を応援する会社「キャリーナ」を設立。働く女性を応援する企業の紹介や会員同士が育児などの情報を交換できるコミュニティーサイトを運営するほか、データ入力の業務代行事業などを展開している。
 「自分にとっての優先順位は仕事と育児が両立できる環境だったのですが、なかなか就職活動が進まないうちに、子どもを産むという自然なことがかなわないのは、どうなんだろうと疑問に思いました」
 「そこで働く女性を応援する企業のデータベースを自分でつくって、企業の情報を発信することで、社会に同様の取り組みが少しでも広まらないかと思いました。いつの間にか就職活動が起業活動になっていて、資金もほとんどない中、半ば勢いで立ち上げたのですが、自らの問題意識を仕事にしているので、困難に直面しても自分の思いが変わることはありませんでした」

 ▽まさかの不妊治療
 子どもを産む前提で会社を設立したが、なかなか自分は授からない。起業してから育児中の母親の話を聞いているうちに、あまりの大変さに子育てに悲観的になる時期もあったが、ほしいと思っても産めないことが、こんなにつらいとは思わなかった。そして、不妊や経済的な状況などさまざまな理由で同じ状況にいる人が多いことにも気付いた。子どもを持つことを阻む要因を一つでも取り除きたいと、同世代の女性経営者や中小企業経営者らと09年6月にNPO法人「第3次ベビーブームプロジェクト推進委員会」を設立した。
 子(5)がいっぱい(18)という語呂合わせで5月18日を「ベビーブームの日」として、少子化問題のフォーラムを昨年開いたのを皮切りに、場所や日程を決めるリーダーを趣味ごとに募って独身男女が交流する「シングルズカフェ」や、妊娠中の女性や母親と独身女性が子育てについて疑問や意見交換する「シスターズカフェ」を運営している。

47honbun2asano.jpg
昨年9月に開いたシスターズカフェ=東京都中央区(浅野さん提供)

 「子育て支援はもちろん大切ですが、子どもがいない人たちも含めて考える視点を持った対策も必要です。産むために結婚することが前提になっているならば、出会いの場のケアも必要じゃないかと思います」
 「独身女性と母親が出会う機会はほとんどないので、今年から地域ごとにリーダーを募って、気軽に集まれる地域密着型のシスターズカフェも開催したいと考えています。地域でお互いが助け合えるようなコミュニティーになって、いずれは全国に広げたいですね」

 不妊治療のため1年あまり病院へ通っている。病院には悲しそうな表情をした人たちであふれていて、数時間待ちは当たり前。毎回、検査や注射など痛い思いもする。体外受精もしたが、費用は80万円以上かかった。いつ授かるかは分からなく、身体的、金銭的、精神的にも負担は大きい。
 「不妊治療をしている人のほとんどがそうだと思いますが、まさか自分が不妊とは、と今でも正直驚いています。いくら仕事を頑張ってキャリアを築いてきたとしても、もし不妊治療をすることになってしまったら、職場の理解が相当ない限り、仕事を続けるのは難しいでしょうし、貯金もあっという間に底をついてしまう。もし出産を先延ばしにしている人がいたら、先延ばしすることで不妊のリスクがあることも考えてほしいなと思います」

 どんなに待ち望んだか、自分の子どもに伝えられる日が来るのを願う。
 「不妊治療を始めて、生命の誕生がいかに奇跡的で、産みたい人が子どもを授かることがどんなに幸せなことかを感じるようになりました。NPOの活動を通して子どもを持つことを阻む要因を一つずつ解決して、日本中をお父さん、お母さんの無償の愛、そして子どもたちの幸せな笑顔でいっぱいにしたいと思います」。少子化問題に前向きに活動を続ける。(共同通信デジタル編集部、10年1月19日配信)



浅野純子(あさの・じゅんこ)さんの略歴

 1976年、千葉県出身。米国の大学を卒業後、帰国。投資会社などに勤務し、2006年に「キャリーナ」を起業。09年にNPO法人「第3次ベビーブームプロジェクト推進委員会」を設立した。


前へ 子育てさがしTOPへ
赤ちゃん

この記事の感想をお寄せください。
あて先は共同通信社デジタル編集部 kids@kyodonews.jpまで。
いただいた感想は紹介させていただく場合があります。