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子育てさがし 共同通信がママ・パパ・家族をつづった子育て物語です。

父親学校に通った荒木正太さん

笑顔あふれる家族に 育児休業取得を目指す

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荒木正太さん=東京都中央区

 夕方、東京都中央区の公共施設に仕事帰りのスーツ姿の男性が集まってくる。男性も育児に積極的に参加してもらおうと、これから父親になる人らを対象にした「ファザーリング・スクール」に通う受講生だ。来年2月にパパになる予定の会社員荒木正太さん(27)は、新たに家族が増える前に、自分に何ができるかを真剣に考える機会になったという。

 ▽帰宅は深夜
 大学生のころから、家族を取り巻く問題に興味があり、卒論のテーマは男性の育児休業についてだった。2006年に大手の通信会社に入社。08年7月に広島から東京へ転勤になり、同年11月に遠距離恋愛だった妻美登里さん(26)と結婚した。仕事の忙しさで、学生時代からの「家族を大事にしたい」という思いを忘れがちになっていた09年7月に美登里さんの妊娠が分かった。
 「東京に来て1年ほどで、生活も仕事も落ち着いていない時だったので『育児のことはまだなにもできないよ』と一瞬思ったが、すぐに自分がどうしたいか、できる範囲で何ができるかを考えるようになった。スクールに通おうと思ったのもその一つで、育児を相談できる父親の友だちをつくりたかったんです」

 仕事から帰るのは、毎日ほぼ深夜。夜は美登里さんに作ってもらったおにぎりを食べながら仕事をしている。終電がなくなり、週に何回かはタクシーで帰る生活。午後6時半から始まるスクールに通うのは一苦労だった。そういう職場だからこそ、子どもが生まれる来年に育児休業を取りたいと考えている。
 「ほとんどみんなが毎日終電近くまで仕事をしています。上司がいるから帰れないとかもあるかもしれません。週に1回のスクールに行くためには、時間の管理をして、仕事の優先度をはっきりさせて、なるべく周りに迷惑をかけないように心掛けました」
 「上司が土日も仕事で、なかなか子どもと遊ぶ時間がつくれないことを嘆いていて悲しくなった。会社という組織の中のそういう職場で自分が育休を取ることはインパクトがあるし、長時間労働を何とかするという意識を浸透させたいと思っています」

 ▽ポジティブな雰囲気
 学校を運営するのは、父親による子育てを支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「ファザーリング・ジャパン」。開講のきっかけは、父親になる気持ち、心構えを継続して学ぶ機会や父親同士が知り合う場がほとんどないことだった。
 ファザーリング・ジャパンの安藤哲也(あんどう・てつや)代表理事は「父親のネットワークはパパを支える一生の財産になる。そういう土壌がスクールでできたのはとても心強い」と手応えを感じている。

 十数人の受講生には「あらためて育児について考えたい」という既に小学生の子どもがいる父親や「将来子どもができた時に、相談できる関係を持ちたい」と動機を話す独身男性もいる。第1期のスクールの講座は10月から全8回で、絵本の読み聞かせや産前産後の妻の体や心のこと、赤ちゃんの事故や病気の予防法、育児関連の法律知識など、それぞれの分野に詳しい講師を招いた。
 10月26日のテーマは「ママの心をつかむパートナーシップ」。講師が「妻に『何か手伝おうか』というのは、当事者ではないような言い方なので駄目です」など事例を示した上で、育児は大変で妻の努力を認めて感謝することが大事だと説明した。受講生は真剣な表情で聞き入ってメモを取っていた。初対面ということもあり、最初は受講生にぎこちなさもあったが、講座後の懇親会でお互いの家庭のことや悩み、考えなどを話すようになり気心が知れると、和やかになっていった。
 「みんないい家庭にしたいという目標があって通っているので僕もポジティブになりました。年齢も仕事もバラバラですけど、同期生としてこれからも交流を続けたいと思っています」と荒木さん。

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修了証書を手にする荒木さんと美登里さん=東京都中央区

 講座を通して、生まれてくる子どもにやってあげたいことはもちろん、妻とずっと仲良くしている父親になりたいと思うようになった。
 「子育てには昔ながらの風習もたくさんあって面倒な半面、普段では気付かないことを気付かせてもらえるチャンスなのかもしれない。講座では、育児には妻との関係が一番重要だと気付かされました。夫婦の仲が良ければ、それを見て子どもは勝手に育つんじゃないかと思うようになった」

 ▽妻「不安なくなる」
 11月19日の修了式には、美登里さんの姿も。受講生全員が宿題だった妻らへの思いを発表した。荒木さんは「子どもには絵本をいっぱい読みたい。(趣味の)ジャズを一緒にできたら最高」「これからもずっと仲良く、笑顔があふれる家族にしたい」と美登里さんに伝えた。
 「今までは疲れた顔で深夜に帰ってくるので、話し掛けるのも気が引けるぐらいでしたが、スクールに行くようになり機嫌が良くなりました。講座のことも話してくれるし、子どもが生まれてくる楽しみを言葉で表現するようになって、私も安心できて精神的な不安はなくなりましたね。お互いが育児に興味をもって、楽しみにできることがとてもうれしいです」と荒木さんの変化を美登里さんは話す。

 美登里さんは出産のため年末には実家に戻り、しばらくは離れ離れの生活になる。
 荒木さんは「やっぱり寂しいです。妻や生まれてくる子どものそばにいたいですから。離れている間には、笑顔あふれる家族にするという目標の入り口になる育児休業を取るために自分ができることをやります。僕は普通の会社員ですけど、組織にいても育児は積極的にできるというモデルになりたいです」。修了証書を手に仕事と家事、育児との両立をあらためて決意した。(共同通信デジタル編集部、2009年12月15日配信)


 ◎残業しないパパが社会を変える
 素晴らしいプレパパですね。
 私は一歳の娘の母です。父親は通勤に片道1時間半かかることもあり、平日は母子家庭状態でした。
 私が子供が3ヶ月の時に職場復帰したこともあり、はじめての育児プラス仕事で疲労困憊、「なぜ私ばかりが?」「だってしょうがないじゃん」という結論のない言い争い、プチ家出もしました(笑)。
 今週初めて保育園への送りと迎えをやってくれて、一年目にしてようやく「パパスイッチ」が入ってきたかな?と感じております。
 この記事の方のような、産前から当事者意識を持って育児にかかわってくれるパパが若い人たちのあいだで増えているのは、頼もしいですね。育児の大変さは、そのほとんどが「あと一人私がいれば解決する」というたぐいのものだと思います。その意味でパパ達はもっともっと育児にかかわってほしい。
 しかし今の日本の職場環境(サービス残業当たり前という雰囲気、奥さんが専業主婦の上司・同僚の「なんで男である君がやらないといけないの?」という反応)が変わらなくては・・・(1歳の母親さんより)

 



荒木正太(あらき・しょうた)さんの略歴

 1982年、奈良県生まれ。大学を卒業後、2006年に大手通信会社に入社。08年から東京勤務になり、美登里(みどり)さんと結婚。10年に第1子が生まれる予定で、育児休業の取得に向け調整している。


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