47NEWS >  47特集 > まどかと巡る世界将棋紀行 > ベラルーシの精鋭

ベラルーシの精鋭

ヨーロッパ選手権で優勝したタニヤンさん ヨーロッパ選手権で優勝したタニヤンさん

 ウクライナのキエフで行われたヨーロッパ選手権の決勝戦は、ベラルーシ対決となりました。セルゲイ・コルチスキさんはベテランの将棋プレーヤーで、日本に来て将棋番組に出演したこともある実力者。一方のヴィンセント・タニヤンさんは18歳。近年、急速に力をつけてきた若手プレーヤーで、昨年のオランダ・アムステルダム大会でも決勝まで駒を進めて、その時は惜しくも準優勝でした。今年こそは、という気持ちで対局に臨んだことと思います。さらに今回の優勝者は、10月に北九州で行われる国際将棋フォーラムの世界大会に招待されることになっています。気合の入る大一番です。

 タニヤンさんがリードして迎えた終盤戦。2人をベラルーシ勢が囲み、さらにその周りに他国のプレーヤーが詰め掛けて、皆、息を潜めて見守ります。苦しそうな表情で粘り続けるセルゲイさん。大勢に注目される中、タニヤンさんは慌てず着実な攻めで勝ち切りました。その戦いぶりを見て、将棋はもちろん、精神的にも強いなと感じました。

 表彰式の後、タニヤンさんにインタビューをしました。
 ―将棋を始めたのはいつ。
 「子どもの頃からロジカルゲームに興味がありました。13歳から将棋を始めました」
 ―ベラルーシではどうやって将棋をしていますか。
 「週に2回、将棋の会があって参加しています。それ以外に自分で本を読んだり、問題を解いたり。ミンスクでは月に一度大きな大会があり、週に一度小さな大会があります」
 ―昨年のヨーロッパ選手権は準優勝でした。今大会に向けて何か特別なトレーニングをしてきましたか。
 「Hidetchiさんの動画(筆者注:youtubeで公開された英語の将棋動画) をもう一度見直しました」
 ―今回の決勝はセルゲイさんとの対決となりました。どんな気持ちでしたか。
 「彼と戦う時、勝ったらいつもうれしいですが、大会で勝てて、とてもうれしいです」
 ―これからの目標は。
 「最も大事なのは続けること。続けて成長すること。そして大きい大会に参加して勝ちたいです」

 タニヤンさんは控え目な口調で、そして素直な目で気持ちを語ってくれました。まさに、「勝っておごらず」。通訳をしてくれた寺岡郁夫さんの話では、彼はベラルーシ将棋界の期待の星ということ。これからの活躍がますます期待できそうです。
 ベラルーシの首都、ミンスクでは子どもたちの間で将棋が盛んになっています。これは素晴らしい指導者たちによる努力のたまもの。字数が尽きたので、その話は次回に。(北尾まどか)

2017年09月01日

北尾まどか 女流二段

北尾まどか 女流二段

北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

  • 前の記事へ
  • 記事一覧へ
  • 次の記事へ