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「くらしEYE」のコーナーは、共同通信社生活報道部が毎週末、新聞用に出稿している「暮らしアイ」と「暮らしコンパス」「そもそも解説」を47NEWS向けに再構成したものです。

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育児と介護、同時負担に 知ろう支えようWケア

育児と介護が重なった経験を地域の母親に話す植木美子さん

育児と介護が重なった経験を地域の母親に話す植木美子さん

高齢出産の増加とともに、子育てと親の介護が同時進行となる「ダブルケア」が表面化してきた。どちらを優先するかといった悩みは尽きないが、相談先は少なく、行政の連携も不十分だ。本人たちの声を聞き、支援につなげようという取り組みが始まっている。
 横浜市の子育て支援施設「ほしのひろば」で2月、ダブルケアについての座談会が開かれた。同市の植木美子さん(42)は集まった母親らに、8年前の体験を語った。
 義母が肺炎で入院し、1日おきに病院へ通った。2歳の息子は一緒に行くのを嫌がり泣いたが、預け先はない。毎回「売店でお菓子を買ってあげるから」となだめた。
 自宅に残された義父の様子を見に行くと、冷蔵庫の中身は大量に買い込んだメロンパンと卵ばかりで、鍋を真っ黒に焦がしていた。「義母は『何も心配ないから』と言っていたのに」。義父は認知症だと分かり、息子を伴って介護保険の手続きや施設探しに追われた。
 座談会に参加した育児休業中の女性からは「ダブルケアになったら、仕事との両立はできるのか」など不安の声も上がった。親の介護に手を取られ、子どもの家出や不登校が起きたケースもある。横浜市の補助で、ひろばを運営する北原基子施設長(40)は「当事者支援のために、この場所を活用したい」と話す。
 ダブルケアの背景には晩産化、少子化、長寿化が複雑に絡み合う。女性の第1子出産時の平均年齢は30・4歳(2013年)と上昇。夫婦のきょうだいは少なく、双方の親の介護では、子育て中であっても、妻に負担が集中しがちだ。
 横浜国立大の相馬直子准教授(41)らが子育てママ約900人を対象に実施したインターネット調査では、ダブルケアを経験した人や、数年先に経験しそうだという人が合計で約4割に上った。
 相馬准教授は「介護も育児も女性の仕事だという昔ながらの考えに縛られ、何を優先すべきか悩む人は多い。行政は縦割り意識を改め、介護のケアマネジャーや保育士、幼稚園教諭といった人たちも、家庭全体の状況を踏まえた支援を考えてほしい」と指摘する。
 経済的な負担も大きな課題だ。ソニー生命保険(東京)のライフプランナー池田数人さん(41)は顧客の相談に応じる際に、家系図や人生設計表で(1)将来、誰に介護の負担が生じそうか(2)子どもの進学費用と親の介護費用が必要な時期が重ならないか―などをチェックするよう勧めている。
 同社の男性社員(27)は親が貯蓄した進学費用を祖母の介護に回され、大学進学の際に予定外の奨学金を借りた経験がある。池田さんは「共働き夫婦でも、どちらかが介護のために離職すれば世帯収入が大きく減ることになる。介護の担い手や費用をどうするか、家族で事前に話し合うことが大切だ」と話している。

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