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「くらしEYE」のコーナーは、共同通信社生活報道部が毎週末、新聞用に出稿している「暮らしアイ」と「暮らしコンパス」「そもそも解説」を47NEWS向けに再構成したものです。

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地方大生の争奪戦激化 採用で首都圏の企業攻勢  地元はつなぎ留め 

弘前大の合同会社説明会

弘前大の合同会社説明会

 来春卒業の大学3年生の採用活動で、地方の大学生の争奪戦が激しくなっている。学生優位の「売り手市場」を背景に、首都圏に本社を置く企業が各地の会社説明会に足を運んで優秀な人材に触手を伸ばすのに対し、地場企業は人材流出を危惧し、つなぎ留めに躍起だ。ただ学生の地元志向は依然強く、大手といえども思惑通りにはいかないようだ。
 3月上旬、青森県弘前市内のホテルで開かれた弘前大の合同会社説明会。約210社の参加枠に約350社が応募する盛況ぶりで、地元企業にまじって全国展開する東京の会社も目立った。
 ビル設備管理大手の三菱電機ビルテクノサービス(東京)の担当者は「仕事は増えており、工学部の学生だけで250人以上の採用が必要。東京だけでは到底まかなえず、理系の学生が多い全国の国公立大を中心に回っている」と説明。東京の製薬会社の担当者は「地方の国立大生は実直で基礎学力の高い人が多く、医師との関係を築く営業人材として魅力がある」と参加理由を話す。
 本社を首都圏に構える企業の攻勢に、青森市の電気設備資材会社は「売り手市場で東京の大手企業を目指す学生が増え、応募が減るのではないか」と危機感をあらわにする。弘前市の精密機器メーカーは、弘前大OBの採用担当者が津軽弁で学生に語りかけるなどして地域密着を懸命にアピールした。
 ただ大都市の大手企業も、決して楽な採用環境ではない。弘前市出身で同大人文学部3年の女子学生(21)は、説明会で地元の地方銀行や全国展開する証券会社を回った。「大手企業は高い給与が魅力だが、実家から通いたい気持ちも強い」と揺れる心を語る。同学部3年の男子学生(21)は「地元に貢献したいので、東京の会社は考えていない」ときっぱり。
 弘前大学生就職支援センター長の石川善朗(いしかわ・よしろう)教授は、少子化で子どもを遠方に就職させたくないという親の意向も、就職先をめぐる学生の考えに影響を与えているとみる。
 首都圏など都市部の企業の攻勢は、他の地方大にも広がる。長崎大は「参加希望の企業が多く、従来2日間だった学内合同説明会の日程を3日間に増やした」と説明。島根大が23日に開く説明会も、申し込み開始から5日で企業の参加枠が埋まった。キャンセル待ちが相次ぎ、参加枠を増やして対応したという。
 人手不足の中、地方大学の優秀な人材をいかに確保していくかに企業は知恵を絞る。愛知県の中堅小売業者は、北陸地方でも店舗展開しているが「本社が愛知県というだけで、北陸の学生に敬遠されてしまう」(採用担当者)。このため勤務地を北陸地方に限定した採用を行う方針だ。

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