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「くらしEYE」のコーナーは、共同通信社生活報道部が毎週末、新聞用に出稿している「暮らしアイ」と「暮らしコンパス」「そもそも解説」を47NEWS向けに再構成したものです。

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増える女性の単身赴任 子育て両立に障害も

ネットを使った電話で、子供たちと会話する中山季子さん

ネットを使った電話で、子供たちと会話する中山季子さん

これまで男性中心だった単身赴任をする女性が目立ってきた。キャリアアップにつながるとして、会社からの打診に応じるようになったことが背景にあるようだ。一方で子育てなどとの両立は苦労が絶えず、転勤制度そのものの見直しを求める声も根強い。女性の活躍が叫ばれる中、働きやすさに配慮した制度を取り入れる企業も出始めた。
 「ママー」「もっと顔を見せて」。京都市にある大手飲料メーカーの社員寮。中山季子さん(36)は、パソコン画面に映る長男(6)と次男(3)の姿に優しくほほ笑んだ。毎朝、出勤前に20~30分。ネットを使った電話での親子の会話が欠かせぬ日課となっている。
 2001年に総合職として採用され、営業企画部門で働く。東京の本社から単身赴任をしたのは昨年4月。「男性には当たり前。若いうちに経験を積んでおきたい」。同じ会社に勤める夫(40)は「いつか自分が逆の立場になるかもしれない」と背中を押してくれた。
 フレックス制度を利用し、毎週金曜日の午後3時半に退社。そのまま新幹線で帰京し、2人の息子を保育園に迎えに行く。月曜日の始発で戻るまでの、つかの間のスキンシップ。「最初は、別れ際に子どもたちが大泣きし、申し訳ない気持ちでいっぱいだった」
 夫は、平日に保育園の送り迎えや家事を1人でこなすが、時間に追われてなかなか残業ができない。長男は4月から小学生。環境は大きく変わり不安もあるが、悩み事を聞きながら、しっかりとコミュニケーションを取るつもりだ。「あの時があって良かったと言えるような仕事をしたい」
 総務省の就業構造基本調査によると、夫と別々に単身で暮らし、企業などで働く女性は02年の11万8500人から、12年には19万4400人に増加。夫が単身赴任のケースが多いが、妻の単身赴任も増えているとみられる。
  転勤が日本で一般的なのは、企業などが終身雇用を前提に、仕事内容や勤務地を決めずに採用することが多いためで、子どもの教育や住宅ローンなどを抱えている人は単身赴任を選ぶことも。かつては夫が不在の間に専業主婦が家庭を支えたが、今や女性がフルタイムで働くのは珍しくない時代。夫婦のどちらかがいなくなれば、残された方に負担が重くのしかかる。
 企業側の取り組みも進む。全国64の地方銀行は昨年11月に「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」を設立。人事窓口が情報を共有し、行員の妻や夫が転勤する場合に、転勤先にある別の地銀に行員が就職できるようなシステムを、15年度にも創設する方針だ。資生堂は、配偶者の海外転勤を理由に、最大3年間の休職を認めている。
 ただ最近は家族の介護など、転勤自体が難しいケースが少なくない。両立支援の研修などを手掛けるワーク・ライフバランス(東京)の大塚万紀子コンサルタントは「転勤に頼らなくても、地域で優秀な人材を確保できる新たな仕組みが必要だ」と話している。

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