47NEWS >  47特集 >  くらしEYE >  そもそも解説 >  【国民年金の保険料納付率】目立つ若者の未納 老後に低所得の恐れ

くらしEYE

「くらしEYE」のコーナーは、共同通信社生活報道部が毎週末、新聞用に出稿している「暮らしアイ」と「暮らしコンパス」「そもそも解説」を47NEWS向けに再構成したものです。

WOMAN EYE過去記事はこちらから

そもそも解説 暮らし関連のニュースや用語を一から解説

【国民年金の保険料納付率】目立つ若者の未納 老後に低所得の恐れ

 国民年金の保険料納付率が4年連続で60%を下回り、低迷が続いています。加入者の老後は守られるのでしょうか。

 ―2012年度は7年ぶりに国民年金の納付率が上がったそうですね。
 
 はい。厚生労働省によると、12年度の保険料納付率は59・0%で、11年度の58・6%からわずかに改善しました。低落傾向に歯止めがかかった格好ですが、1990年代半ばまでは80%を超えていました。それに比べれば非常に低い水準です。
 国民年金は自営業や無職の人が加入し、現在の保険料は月額1万5040円。会社員が入る厚生年金は給与天引きで「未納」が起こりませんが、国民年金は自ら納付手続きをしなければならず、未納が問題になります。
 
 ―なぜ未納が多いの。
 
 景気低迷や雇用環境の悪化が背景にあります。所得の低い非正規労働者が国民年金に入るケースが増え、12年度は加入者の28%が臨時雇用やパートです。無職の人も39%。未納者への意識調査では74%が「経済的に苦しくて支払いが困難」と答えています。
 
 また年金記録問題など行政の失態で制度に不信感を抱いたり、若い世代では「保険料を払っても将来の年金はわずかしかもらえない」と考えたりする人も多いようです。
 
 納付率を年齢別にみると55~59歳は72%と高めですが、25~29歳は47%、30~34歳で49%。若い層の未納が目立ちます。
 
 ―こんなに若者の未納が多いと、年金制度が立ち行かなくなるのでは。
 
 未納だった分は将来の年金額が減るので、年金財政に影響を与えるわけではありません。厚生年金や共済年金を含めた公的年金制度全体からみれば、未納・未加入者は約5%にとどまります。
 
 ただ、未納が続くと年金額がわずかになったり、無年金に陥ったりします。老後に生活保護に頼らざるを得ない人が増えれば、国の財政にとって深刻な問題となります。
 
 ―無年金は困ります。
 
 昨年の法改正で、年金の受給に最低限必要な加入期間(受給資格期間)を、現行の25年間から10年間に短縮することが決まりました。15年10月施行の予定です。
 
 無年金の人が減ることが期待されますが、楽観ばかりもできません。「保険料は10年間だけ払えばいい」との考えが広まる懸念もあります。納付期間が短いと受け取る年金も少なくなりますから、月1万数千円程度の低年金の人が大量に生まれるかもしれません。
 
 ―国はどんな未納対策をとるべきでしょうか。
 
 納付率向上には何よりも、景気の回復と雇用の安定が不可欠です。国は悪質な滞納者への強制徴収に乗り出していますが「焼け石に水」の感があります。かつて保険料徴収は市町村の仕事でしたが、02年度に国へ移管した途端、60%台に落ち込んだ経緯があります。全国に312カ所しかない年金事務所に任せるのでなく、住民に身近な市町村の協力を仰ぐのも一案ではないでしょうか。

(一口メモ)
 年金未納の背景には「払い損になる」との誤解もあるようですが、公的年金ならではのメリットがあります。例えば、保険料を納めていれば不慮の事故などで障害を負った際に「障害年金」が受け取れます。それに基礎年金の財源の半分は税金なので、受給できないと「税の払い損」です。
 
 保険料を前払いすれば、最大2・1%引きになります。来年4月からは、口座振替で2年分前払いすると4%割り引く制度が始まります。
 
 家計が苦しくて保険料を納められない場合、納付の免除や猶予を受けることができます。免除は所得に応じて「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4段階。猶予は30歳未満が対象です。免除・猶予に該当すれば未納扱いではなくなるので、大切な手続きです。

記事へのご意見、ご感想をkurashi@kyodonews.jpにお寄せください。