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「くらしEYE」のコーナーは、共同通信社生活報道部が毎週末、新聞用に出稿している「暮らしアイ」と「暮らしコンパス」「そもそも解説」を47NEWS向けに再構成したものです。

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知識身に付け自分を守ろう 働くルールを講義 

学生に講義をする金井弁護士

学生に講義をする金井弁護士

 「働いた時間通りの賃金が出ない」「希望しないシフトに入れられ、試験勉強ができない」―。そんなブラックバイトの対策に役立つようにと弁護士らが大学に出向き、学生に働くルールを教えている。「ルールを知ることで自分の身を守ってほしい」と訴える。
 「休憩中は電話応対しなくていい?」。半数近い学生が恐る恐るイエスに手を挙げる。7月下旬、「ブラックバイト対策弁護団あいち」の金井英人(かない・ひでひと)弁護士が中部大(愛知県春日井市)で1年生に働くルールを講義した。
 正解は「応対しなくていい」。働けば休憩にならないからだ。金井弁護士は「労働条件を確認し、自分の希望を伝えよう」と呼び掛けた。
 弁護団は昨年7月から愛知県の大学で労働時間と休憩の違いや残業代の仕組みといった基本ルールを教える。厳しいノルマを負わされ学業に支障が出るなどブラックバイトの被害が相次ぐ一方、学生は労働法の知識が乏しいからだ。
 金井弁護士は「働かせる側の人がルールを知らないことも多い。学校教育で教えられれば良いのだが」と指摘。労働問題に詳しい弁護士でつくる日本労働弁護団も、学校や職場で働くルールの教育を普及させる「ワークルール教育推進法」の制定を目指している。
 昭和女子大(東京)で7月末にあった3年生向けのキャリア教育の授業。講師に招かれたブラックバイトユニオンの坂倉昇平(さかくら・しょうへい)事務局長が「給与明細を受け取り、働いた時間を1分単位で手帳に記録することが大事だ」と指導。困ったときは労働基準監督署や個人加盟できるユニオンに相談するよう学生に勧めた。
 受講生95人の事前のアンケートでは73人がアルバイトをしており、うち約2割に「給与明細が渡されない」「サービス残業させられる」「辞めたいと言っても断られた」などの問題が見られた。
 講義を依頼した小野寺拓也(おのでら・たくや)専任講師は「キャリア教育ではどうしたら企業に気に入られるかが重視されがちだが、働き方の知識を持つことも大切だ」と話す。
 悪質なバイトに悩む大学生らでつくるブラックバイトユニオンには昨年8月以降、335件の相談が寄せられた。業種別では学習塾、飲食、小売りで約8割を占めた。
 神奈川県で塾講師のバイトをする私立大1年の男子学生(19)は6月、バイト代の少なさを不審に思いユニオンに相談した。80分の授業を教えて1500円だが、小中学生の成績管理や会議の時間は無給だ。6月の労働時間を全て記録し給料を割ると、時給722円。神奈川県の最低賃金を165円も下回った。
 プロ講師と思わせたいためか、塾は「バイトの大学生であることを子供たちに明かすな」と強要する。「中高生時代には自分がこの塾に通った。思い入れがあるからこそ、このままにはしたくない」と話す男子学生は、ユニオンの支援を受け改善を求めていく。

若者の労働相談に応じるNPO法人「POSSE」代表で、「ブラックバイト」の共著がある今野晴貴(こんの・はるき)氏の話 過大な責任を負わされ、辞めにくくなるのがブラックバイトの特徴だ。アルバイトの学生を安く、長く働かせて戦力化する企業が増えている点に問題がある。実践的な働くルールを中学校や高校の授業で教え、専門家に相談しやすい環境を整えるべきだ。

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