(45)動き回ってえさを探す たいくつしない工夫
しゃがんで丸太(まるた)をころがす。プールの水に鼻をつっこむ。消防ホースをふり回す。名古屋市の東山(ひがしやま)動植物園のアフリカゾウはじっとしていない。何をしているのかな?
「あちこちにかくしてあるえさを探しているんです」と担当の鈴木哲哉(すずき・てつや)さん。ホースの中にはヘイキューブという干し草のかたまり。水の中にはバナナやリンゴ、丸太にもえさがかくしてある。

ひざを折って丸太をころがしながらえさを探すアフリカゾウ=名古屋市の東山動植物園
何でこんなことをしているんですか?
「アフリカゾウは野生では1日のうち18時間ぐらい食べることに使っているそうです。移動しては食べる。そのくり返し。動物園でも食べる時間を長くしたいんです」
えさをドサッとやるとあっという間に食べてしまう。食べすぎも心配だし、食べ終えるとたいくつだ。そこでちょっと頭と体を使ってもらう。
かべの上やへこみ、わらや盛り土にもかくす。ゾウもえさ探しが楽しそう。緑の葉がいっぱいの木の枝は、まずおいしい葉っぱだけ時間をかけてむしゃむしゃ、枝は後で。
8年ぐらい前、ゾウたちはいたずらがひどかった。とびらをこわす。お客さんに物を投げる。ところがえさ探しをさせたらおさまった。
「当時はわからなかったけれど、たいくつでやることがなかったんだと思う」。動物の研究者とも話して、ゾウがたいくつでなく過ごせるように工夫(くふう)をかさねた。
えさの回数は1日3回から8回に増やした。きゃたつに乗って、背たけが3メートルもあるアフリカゾウの目より高い所にもかくす。
「ここではゾウのいろんな動きが見られます。ぜひ見に来てください」。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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