(9)食べるな危険!と警告 えさは動くものだけ
あざやかな青色のまだら模様、小さな体。じっと動かない。つやつやしてゴム製のおもちゃのよう。でもちょっと目をはなすと...あれっ、ちがう場所にいる。「だるまさんが転んだ」みたいだ。
ヤドクガエルの仲間は南米などにいる。緑や黄、赤の原色に派手な模様が入る。この青いのはコバルトヤドクガエル。

青色があざやかなコバルトヤドクガエル=東京・上野動物園
「毒があるから食べたら大変だぞと警告しているんです」と上野動物園の飼育員、斎藤祐輔(さいとう・ゆうすけ)さん。現地の人たちが矢にぬって毒矢にしたので「ヤドク」の名が付いた。でも毒は自分でつくるのでなく、アリなどを食べて、その毒をためている。だから動物園にいるものにはほとんど毒はない。
目立つ色も明るくなければ見えないから、動くのは昼間だ。「日本のカエルはえさをやっても慣れるまでは人前ではあまり食べないけど、ヤドクは平気で食べてます」
とても素早い。目の前のえさをいつ食べたか分からないほど。「ぼくはカエルの方を見ずに、カエルが見ているえさを見るんですよ。なくなったら食べたということ」。それで、だるまさんが転んだみたいだったんだ。
育てるには、えさが大事だ。カエルは動くものしか食べない。上野動物園はコオロギを育てている。でも、アリが入ると卵を食べられてしまうし、温度や湿度(しつど)が合わないと全部死んでしまう。
斎藤さんは動物園で働く前からカエルなど両生類に興味があった。
「オタマジャクシからカエルになるというのは当たり前のようだけど、不思議だと思いませんか。全然ちがう命を、もういっぺん生きているみたいで」(文・佐々木央、写真・有吉叔裕)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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