(34)川にすむ食いしんぼう 日本にはもういない
カワウソが二匹(ひき)、陸に上がってのんびり。おやっ、急に大あわてで走ったり泳いだり。パイプをくぐって、あっという間に水槽(すいそう)まで来た。飼育担当の白石俊明(しらいしとしあき)さんの姿を見つけたせいらしい。えさをねだって立ち上がる。白石さんがドジョウを入れると水にもぐり、二十匹ぐらいをあっという間に食べつくした。

ユーラシアカワウソ。陸ではのんびりしていることが多い=富山市ファミリーパーク
富山市ファミリーパークのカワウソはオスとメス一匹ずつ。
食いしんぼうですね?
「確かに大食いです。ドジョウならオスは一日に四百匹、メスも二百―三百匹食べます。それが毎日だから、たくさんの魚がいる川でないと生き残れません」。
残念だけどニホンカワウソは三十年近く前、高知県の川で見つかって以来、見た人がいない。絶滅(ぜつめつ)したと考えられている。「ここ富山の川では、上流にも下流にもカワウソがいました。こんなのが川を泳いでいたら本当に楽しかったと思う」
今ここにいるのはユーラシア大陸などにいるユーラシアカワウソという種類。オスのスイミーは広島市の安佐(あさ)動物公園生まれ、メスのユッチーは横浜(よこはま)市のズーラシア生まれだ。ファミリーパークではちょっと前まで別々にしていた。
カワウソはオスが大きいので、けんかしたときに本気になるとメスを傷つけてしまう。以前はスイミーが手加減できず、思い切りかんでしまったこともあった。
今は仲良し。一匹でいるとねている時間が長いけれど、いっしょにいると、追いかけ合ったりする。二匹の間に子どもがうまれ、お客さんに子育てをする姿も見てもらいたい。それが白石さんの今の願いだ。(文、写真・佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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