(23)海藻そっくりにただよう 呼吸数え、健康チェック
緑色の海藻(かいそう)がただよっている。あっちにゆらゆら、こっちにすーっ。よく見るとタツノオトシゴのような体から、葉っぱみたいなのがたくさんしげっている。それに、ただ流されているのとはちょっとちがうみたいだ。

水槽の中のリーフィーシードラゴン=東京都江戸川区の葛西臨海水族園
「流されてるんじゃなくて泳いでるんです。胸びれと背びれがあって、泳ぐのには胸びれを使っています」と笹沼伸一(ささぬましんいち)さん。東京の 葛西臨海水族園で飼育を担当している。
この葉っぱのどれが胸びれなんだろう。「葉っぱのようなのは、ひふが変化したものです。ひれは透明(とうめい)で、よく目をこらさないと見えません」
英語でリーフィーシードラゴン。リーフィーは「葉っぱのような」、シードラゴンは「海の竜(りゅう)」という意味だ。オーストラリア南西部の浅い海にいて、この体で海藻にまぎれ、小さな魚やエビのようなものを長い口で吸いこむ。
葛西臨海水族園では子どもを増やそうとしているが、まだ成功していない。メスは卵をオスのおなかのくぼみに産み付け、オスは子どもが泳げるようになるまで育てる。「卵を産み付けても、落ちてしまうんです」。笹沼さんは残念そうだ。
急に明るくなったり暗くなったりすると、おどろいて水面に上がってきてあばれることもある。だから夜は1時間かけてライトを暗くし、朝も同じ時間かけて明るくする。
傷などからばい菌(きん)が入りやすく、病気にもかかりやい。えさは午前と午後の2回。そのとき笹沼さんはえらの動きで1分間の呼吸数をはかって健康状態をみる。病気の兆候はないか、ストレスは受けてないか。お医者さんみたいだ。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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