(175)ミミズしか食べなかった 動物園で初めて子ガメ誕生
全体に黄色っぽいけれど、いろんな色がまじっている。札幌(さっぽろ)市円山(まるやま)動物園の「は虫類・両生類館」にいるカンボジアモエギハコガメ。

札幌市円山動物園のカンボジアモエギハコガメ。元気に動いていた
「もえぎ」を辞典で引くと「黄色がかった緑色」とあった。ネギが地面から生えてくるときの色だと説明されている。
担当(たんとう)の本田直也(ほんだなおや)さんは世界の動物園・水族館で初めて、このカメの赤ちゃんを誕生(たんじょう)させた。
「運ばれる間に弱ってしまって、死んだようになって来ることが多いんです。"シニガメ"という別名があるぐらいです」
本田さんが担当になったとき、えさを全然食べなかったそうだ。ミミズだけには反応(はんのう)したので、本田さんは毎日近くの山に入ってミミズを集めた。次には、生きたネズミの子をやり、ふとらせた。このころには、人が近よると、えさがもらえるとわかって、首を動かしたりするようになった。
それから2週間絶食(ぜっしょく)させた。その後いろんなものを食べさせた。今では果物でも野菜でも食べる。
産卵(さんらん)は1回に1こで年に2~3こだけ。今までに7匹(ひき)の子ガメがかえった。カンボジアモエギハコガメは展示(てんじ)場所ではなく、センターラボとよばれるガラスばりの部屋にいる。本田さんたちがふだん働いている部屋だ。
「絶滅(ぜつめつ)が心配されている種なのでここにおいています」。大切にされているんだ。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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