(22)空気ボンベに空気部屋 水中生活の工夫がいっぱい
生きている間のほとんどを水の中で暮らす。クモの仲間は世界で3万5000種以上といわれるが、そんなのはこのミズグモしかいない。どうやって水の中で暮らすんだろう? 東京・井の頭(いのかしら)自然文化園水生物館の荒井寛(あらいひろし)さんに説明してもらった。

ミズグモの巣。黒っぽい体のおしりの方を入れて呼吸している(井の頭自然文化園提供)
「クモは口でなくおしりで呼吸します。ミズグモはおしりに水をはじく細かい毛がびっしり生えていて、おしり全体が空気におおわれたような状態。水中に入ると、空気ボンベを背負っているのと同じことになり、これだけで、相当長い時間、水中で生活することができます」
体長は1―1・5センチ。黒っぽくて小さい。よく見ると、ドームの中に体半分入っている。水草の中に糸を張ってつくった巣だ。そこに空気を運んで空気部屋にしている。そのときは、おしりの両わきに後足をそえていつもより大きめの空気のあわを作って、水中と水上をせっせと往復する。
空気部屋におしりを入れ、上半身は水の中に出して獲物(えもの)を待つ。「これなら何日も待っていられます。ほかのクモは獲物をとるために糸を使うけれど、ミズグモは家づくりに糸を使う」
日本で見つかっているのは北海道や青森、京都、大分など、合わせても10カ所もない。
「生きていく場所の条件がきびしいんです」。魚がたくさんいるようなところでは食べられてしまう。水の流れがあってもだめ。「巣が流されてしまう。簡単に作れるとはいえ、何度も作っていたら体力がなくなります。それに少しかたむいだけでもぽこっと空気がにげてしまいます」(文・佐々木央、写真・井の頭自然文化園提供)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
- お宝映像(いきもの)

- お宝映像(南極)

- ガラパゴスの不思議な生き物

- 九州どうぶつランド
- ともにくらす コウノトリ野生復帰
- トキ便り
- いきもの変動
- 恐竜ワールド2009
- 島の仲間たち2009
- 旭山動物園


