(167)小さな鳥、色あざやか えさの前、空中で静止
たくさんのチョウが飛ぶ中で、女の人がじっとカメラをかまえていた。目の前に、透明(とうめい)な筒(つつ)がぶらさがっている。「何をねらっているんですか」と聞いたら「ハチドリが来るんです」。

えさをすうために空中で静止するハチドリ=多摩動物公園昆虫生態園の大温室
東京・多摩(たま)動物公園の昆虫(こんちゅう)生態(せいたい)園にある大温室。待っていたら、ほんとに来た。小さな鳥が空中で羽ばたいて静止し、筒の中のものを飲んでいるようだ。緑の頭、茶色の体。色あざやかだ。くちばしは細く長い。
この春まで担当(たんとう)だった駒谷良平(こまやりょうへい)さんによると、オスとメスが2羽ずついる。大きさは約10センチ、体重約6グラム。筒の中には、えさの飲み物が入っていて、15分おきぐらいでやって来る。
ここではほかに、バケツの中でショウジョウバエも発生させ、食べさせている。空中でむれている小さな虫のなかにつっこんでいくこともあるけれど「ちょっと見ただけでは何をしているかわからないかもしれません」。
中南米などにいる鳥で、ぶんぶんとハチと同じような羽音をたてるのでハチドリとよばれる。
「運がよければ、花からミツをすうところを見ることもできます。じっと観察していれば、水浴びするハチドリにも出会えますよ」
駒谷さんに言われて、筒の前に来たハチドリの動きを追ったけれど、すぐ見失ってしまった。(文・佐々木央、写真・萩原達也)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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