(17)銀色の群れ、きらきら泳ぐ 潮目の海を再現
いきなり銀色の群れが目に飛びこんできた。後から来た人が「わあ、なんだこりゃあ」と声を上げる。いったい何匹(なんびき)いるんだろう。水面近く、きらきら光る。追い立てるようにウミガメが来た。両前足を広げ、ゆったり泳いでいく。

黒潮水槽を群れて泳ぐイワシ=福島県いわき市・アクアマリンふくしま
福島県いわき市の「アクアマリンふくしま」の黒潮水槽(くろしおすいそう)。ウミガメがここの王さまかと思ったら大きなマグロやエイもいる。目の前でイワシがカツオやマグロに食べられることもあるんだ。
となりには親潮(おやしお)水槽もあって、容量は合わせて2050トンもある。黒潮は南からの温かい海水の流れ、親潮は北からの冷たい海流。いわき沖(おき)は両方がぶつかる「潮目(しおめ)」の海で昔から魚がたくさんとれた。2つの水槽はその潮目を再現した。
「マグロがイワシを食べちゃったら、イワシがいなくなっちゃうんじゃないですか」と飼育員の藤井健一(ふじいけんいち)さんに聞いた。
「イワシも必死ですから。食べられそうになるとにげるんで、何匹も何十匹もいっぺんに食べられてしまうことはないです」。それに、おなかがすきすぎないようにえさをやっている。水槽の真ん中のえさ台から、どの魚が食べているか観察しながらやる。あまり食べてないやつには、もぐって長い棒で口にえさを近づけて食べさせる。
大変なのは掃除(そうじ)だ。外の光がそのまま入るようになっていて明るいから、たとえばカツオの背中の青い模様まで見える。でも水がにごったり、ガラスがくもっていたりしたらだめだ。「内側はもぐってみがくんです」
ああ、それでイワシがあんなにきらきら光ってたんだ。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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