(3)世界の動物園に約40頭だけ あだ名は「森の貴婦人」
こっちにゆったり歩いてきた。足やおしりに白いしま模様。やさしい目だ。大きさは小ぶりな馬ぐらい。オカピはとてもめずらしい動物で、世界中の動物園にいる数を足しても約40頭だけだ。
「変なやつなんですよ」。横浜市(よこはまし)の動物園「ズーラシア」の飼育員、川崎立太(かわさき・りゅうた)さんは困り顔だ。人間になつき、ざらざらの長い舌でぺろぺろなめる。頭、顔...舌が届くところはどこでも。「痛いです。やすりをかけられるみたい。舌でさわって相手を調べているんだと思う」と川崎さん。

横浜市の動物園「ズーラシア」のオカピ。しま模様は森林では風景にとけこんで目立たない
生まれて何十日もふんをしない。体内にためているわけではなく、母親のミルクが全部吸収されるらしい。ミルクにはタンパク質が人間の6倍もあって栄養たっぷりだ。
20世紀初め、英国人の探検家がアフリカで見つけた。現地の人が毛皮を着ていたという。現地の人は知っていたのだから、正しくは、西洋の人の発見が20世紀だったということになる。
体形や模様から、初めはシマウマの仲間と思われていた。でもひづめが2つあった。ウマの仲間なら1つのはず。よく調べたら、キリンの先祖のような種だと分かった。 一度食べたものを口にもどしてかむ「反すう動物」だ。反すうできなければ、消化できず弱ってしまう。原因はおなかにガスがたまること。川崎さんはげっぷやおならが出るように、一生懸命(いっしょうけんめい)おなかをなでたり、もんだりする。
姿が美しいので「森の貴婦人」と言われる。川崎さんも「自然がつくった芸術だと思う」と話す。変なやつなんて言いながら、オカピが好きみたいだ。(文・佐々木央、写真・有吉叔裕)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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