(85)野生にかえせず動物園に 傷ついて保護される
赤い小鳥が枝にちょこんととまっていた。背中は茶色っぽいこい色、おなかのあたりはうすく、クリーム色に近い。くちばしまで赤くて目立つ。

赤い色が美しいアカショウビン。でも野生にはかえれない=京都市動物園
「アカショウビンです」と獣医師(じゅういし)の坂本英房(さかもとひでふさ)さん。カワセミの仲間で、日本で夏をすごすわたり鳥だ。ヒナを生み育てるのは日本。寒い時期はあたたかい南に行く。
京都市動物園には、傷ついた生き物をたすける「野生鳥獣(ちょうじゅう)救護センター」がある。このアカショウビンは4年前に保護された。まだ子どもだった。
センターにはたくさんの動物が保護されてくる。理由はさまざま。交通事故にあったり、ネコやカラスにおそわれたり、ネズミとりにかかったり。鳥なら建物の窓ガラスにぶつかることもある。
窓ガラスは青空が映りこむ。鳥は本当の空だと思ってつっこんでしまう。そこにタカのような強い鳥の姿をかいた絵を張れば、鳥はつっこまない。京都市動物園の事務所の窓にも張ってあった。
傷ついた生きものが来ると、獣医師さんたちはまず、けがや病気の治療(ちりょう)をする。子どもだったら親代わりになって育てる。そして、元気になったら野生にかえす。
じゃあ、このアカショウビンはどうしてここにいるんですか?
「片方のつばさがないので飛べない。野生にはかえせないんです」と坂本さん。
えさは川の上流にいる魚やカエル、サワガニなど。「生きているえさでなければいけないので、ふつうの家で飼ってもらうこともできません」
そういえば、枝にとまったままあまり動かなかった。理由を知って悲しい気持ちになった。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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