(82)ミルクは特製のパンダ用 ふたごでもちがう飲み方
午後のミルクタイムが近づくと、ねていたふたごがもぞもぞ動きだした。1頭が壁(かべ)ぎわまで行って、ドアに向かって立ちあがる。「まだかな」って言っているみたいだ。

ミルクびんから飲むジャイアントパンダの梅浜、お皿を使っているのが永浜=和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド
和歌山(わかやま)県白浜(しらはま)町のアドベンチャーワールドのジャイアントパンダ梅浜(めいひん)と永浜(えいひん)。ふたごだけどミルクの飲み方はちがう。おねえさんの梅浜はミルクびんを両手に持って、弟の永浜はお皿からだ。
「永浜もミルクびんの練習をしたけれど、上手に飲めなかったんです」と担当の松本幸恵(まつもと・ゆきえ)さん。1頭が1日に1・5リットルも飲むそうだ。
ミルクはジャイアントパンダのための特製。日本で最初にパンダがやって来た東京の上野動物園がつくった。人間のミルクとの大きなちがいは乳糖(にゅうとう)という成分がないこと。
梅浜は永浜をまくらにしてねころぶようにして飲んでいる。飲み終わると、竹を持ってかじりだした。「今は少しずつ竹の味を覚えているところ。食べてはいません。永久歯にはえかわったら食べられるようになります」
ここの周辺にはパンダが好きなモウソウチクという竹が育つ。でも今は、この竹をえさにするのはやめている。野生化したアライグマにジステンパーという犬の病気が見つかり、竹からパンダにもうつる心配が出てきたからだ。担当者は犬にはさわらないし、家で犬を飼っている人もいない。
生まれたとき梅浜は194グラム、永浜は116グラムしかなかった。「赤ちゃんは病気への抵抗力(ていこうりょく)もないので、とても気をつかいます」と松本さん。今でもパンダの部屋に入るときは手を消毒し、服も着がえることにしているそうだ。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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