(78)へんてこな形の角も 横に広がった口
ゆっくり水辺にやってきた。大きくて、ゆうぜんとしていて、こわいものなんかなさそうだ。

水辺のシロサイ。口が横に広いのがよく分かる=和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド
和歌山(わかやま)県白浜(しらはま)町のアドベンチャーワールドのシロサイは全部で5頭。みんな大きな角が2本ある。でも担当の森本剛史(もりもとたけし)さんに「よく見てください」と言われた。
「鉄さくなんかを使って自分で角をとぐんですけど、うまくけずれなくていびつになったり、えぐれたりしているのもいるんですよ」。近寄って見たら、確かにへんてこな形になっている角があった。
「それにこの角は骨じゃないんです」。かたそうだけど、かみの毛やツメと同じケラチンという成分でできている。
サイの寝室(しんしつ)の近くに、骨格標本があった。口、鼻筋から頭まではすっと平べったい。角は骨じゃないから残らない。
シロサイの運動場のとなりにはクロサイがいた。遠くからでは同じに見える。白いからシロサイ、黒いからクロサイと呼ぶわけではないそうだ。
「口の形がちがいます。クロサイは上にある葉っぱをつまめるように、とがった口をしています。シロサイは下に生えている草を食べるので、掃除機(そうじき)の吸いこみのように、横に広がっている」
英語で「広い」という意味のワイドを「白い」という意味のホワイトと聞きまちがえたのが「シロサイ」という名前の始まりらしい。
1頭だけ別にされていた。足をけがしているからだ。いっしょにしてけんかになったら、もっとひどいけがをしてしまうかもしれない。森本さんたちはよくブラシをかけたりしてめんどうをみている。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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