(73)サバンナの岩山にいる 小さいのにゾウに近い
サバンナといえば大草原だと思っていた。でも大阪(おおさか)市の天王寺(てんのうじ)動物園にあるアフリカサバンナゾーンには、コピエと呼ばれる岩山があった。

岩のすき間から外をうかがうケープハイラックス=大阪市の天王寺動物園
もともとは地中にあったかたい岩。長い年月で、まわりの地面がだんだんとけずられて姿を現す。高さは5メートルぐらいから50メートルをこえる小山のようなものまで。植物も生えて周囲には緑も多い。
動物にとっては、強い日差しをさえぎって日かげをつくってくれる。見張り台にもなるし、身をかくす場所にもなる。
コピエにたくさんいるのがケープハイラックスだ。大きな目、顔はウサギみたい。でも耳は短い。見ていると岩のすき間から出てきて、別のすき間に飛び移った。
担当の土谷正道(つちやまさみち)さんは「岩と同化しているような動物です」と話す。野生ではコケや木の葉を食べている。動物園では草や木の枝、むしたイモ、ペレットという丸くかためた人工のえさなどをやっている。
その中で一番好きなのは? 「木の枝ですね。枝の皮をかじって、きれいに皮だけむいて食べてしまいます」
寒がりなので暖房(だんぼう)が必要だ。天王寺ではフロアヒーターを入れている。冬はその上にじっとしていることが多い。
ウサギの仲間ですかと聞いたら、意外な答えが返ってきた。「科学的な分類としては、ゾウに近い動物なんです」
前歯がのび続けるからネズミの仲間と思われたこともあった。でも足先の形や遺伝子をよく調べたら、ちがっていた。足は小さいけど、確かにウサギよりゾウに似ている。こんな小さな動物がゾウに近いなんて。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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