(72)立ち上がってえさを取る 器用さを見せる工夫
ギャギャッ、グワッ! 獣(けもの)が激しく争う声。見ると、3頭が何かを取り合っている。争いはすぐ終わった。それぞれの取り分を持ち、わかれて食べ始める。えものは迷いこんだカエルらしかった。

立ち上がって箱からえさを取るアライグマ=東京・井の頭自然文化園
1頭は水辺で洗っているように見えた。アライグマが食べ物を洗って食べるというのはまちがいだというけれど、やっぱり洗うような動きをすることもあるんだ。
東京・井の頭(いのかしら)自然文化園のアライグマの運動場。担当の横田修(よこたおさむ)さんがえさ箱にえさを入れ始めた。
高いところにつり下げた箱の所では、後ろ足で立って、前足で器用にえさを取り出す。下の方に置かれたえさ箱は回転式。回すとえさが出てくる。商店街の福引みたい。アライグマも楽しそうだ。
「アライグマの遊び道具になるし、見る人は器用さや、かしこさを知ることができます」と横田さん。
井の頭にはいまオス4頭とメス1頭。もともと北アメリカの動物なのに、最近は日本各地にいる。畑の作物を食いあらすので、人間にとってはじゃまな「害獣(がいじゅう)」とされて、殺されている。ペットとして飼おうとした人が、飼えなくなって放したのが増えた理由だ。
「野生の動物ですから、長い年月をかけてペットになった犬やネコと同じようには飼えません。ガッとかまれると大けがもします。でも動物が好きで飼い始めたなら、飼い方を知って、最後まで飼ってください」と横田さんは話す。
落ちたえさまで拾って前足で確かめるようにして食べる姿はかわいい。こんなかわいい動物が害獣あつかいされないようにしてほしい。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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