(71)生まれてすぐは泳げない 離乳が大変
大阪(おおさか)市天王寺(てんのうじ)動物園のアシカのプールは広々としている。ねそべったり、泳いだり、アシカたちも気持ち良さそうだ。

生まれたばかりのアシカの子ども。いつもお母さんのそばにいる=大阪市の天王寺動物園
プールわきにフェンスをめぐらした所があって、2頭が別にされていた。獣医師(じゅういし)の榊原安昭(さかきはらやすあき)さんによると、去年生まれの子だそうだ。どうして別にしているんですか?
「親といっしょにしておくとずっと親のミルクばかり飲んで、魚を食べるようにならない。栄養不足で死んでしまうんです。自然界にいると、いろんな大きさの魚がいるので自然と離乳(りにゅう)するんですが」。そこで毎週体重をはかり、減ってきたら親から引き離(はな)し、魚を食べる練習をさせる。
初めは母親から離れた場所に連れて行く。親の声が聞こえると、気が散って魚を食べないからだ。この2頭は自分で魚を食べるようになったので親の近くにもどってきた。
ほうっておくと、新しく生まれた赤ちゃんの分も飲んでしまうので、その赤ちゃんも育たなくなってしまうそうだ。
「そこの小さいのが5日前に生まれた子どもです」。大きなお母さんにくっついている。見ていると、自分でプールに入った。でも、あわててじたばたしている。お母さんが首のあたりをくわえて引き上げた。「生まれてすぐはうまく泳げないんです」。アシカは生まれつき、水中では自由自在なんだと思ってた。
フェンスに鳥がいた。「アオサギやゴイサギがえさのおこぼれをねらっているんです」。アシカ舎の前でえさの魚を売っている。お客さんが投げて、プールにとどかなかった分や、アシカが取りそこねたものを鳥が横取りしようと待っているんだ。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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