(70)水中の姿も見られる 魚や鳥と共生
カバが水面に上半身を出し、またもぐった。ザッバーンとものすごい水しぶき。水もダブンダブンゆれる。

大きな口をあけてえさをもらうオスのカバ、テツオ=大阪市の天王寺動物園
大阪(おおさか)市の天王寺(てんのうじ)動物園のカバのプールはガラス張り。水中の姿が見られる。魚もたくさん泳いでいた。「アフリカの淡水魚(たんすいぎょ)です」と獣医師(じゅういし)の榊原安昭(さかきはら・やすあき)さん。なぜ魚がいっしょにいるんですか?
「この魚は何でも食べる雑食性ですが、ここではえさをやっていません。カバのふんを食べているんです」。水をきれいにするため、ろ過器を使っているけれど、魚のおかげで、ろ過器の負担が軽くなる。
給水管をきれいにするために水を全部ぬくのも、年1回ぐらいですむ。天王寺の昔のカバのプールは小さくて、きれいな水を入れても、ふんですぐにきたなくなってしまい、大変だった。
エジプトガンやアマサギという鳥もいた。鳥たちは、カバの皮膚(ひふ)の虫を食べたり、カバのふんを食べる魚をねらったりする。カバと鳥と魚の関係は持ちつ持たれつ。「共生」といって、自然にはこういう関係がよくあるんだそうだ。
天王寺にはオスのテツオとメスのナツコ、ティーナがいる。ティーナはテツオのおよめさんになるために1歳(さい)のとき、メキシコから来た。10年たってティーナが大人になったので、榊原さんはそろそろ赤ちゃんが生まれてほしいと願っている。
水面を上から見下ろせる場所があった。ガラスで見たとき、水はにごっていたけれど、上からはすんできれいだ。「同じ水なんですけどね」と榊原さん。見方によって一つのものがいろいろに見えることも知った。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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