(69)綱渡りしながら食事 けんかなくす工夫
綱渡(つなわた)りをしながら、その綱からひもでさげたリンゴやサツマイモを次々に食べていく。ひもが長いときは前足でつかんで引っ張る。短いときはそのまま顔を近づけて。

綱の上で上手にバランスをとってえさを食べるハクビシン=東京・井の頭自然文化園
東京・井の頭(いのかしら)自然文化園のハクビシンは、食事のときにいろんな動きを見ることができる。
危なっかしく見えるけど、落ちませんか? 担当の佐々木真己(ささきまき)さんに聞いた。「体全体で上手にバランスを取っています。しっぽをうまく使っているんです」。運動神経がいいんだ。
ハクビシンは漢字で書くと白鼻心。ひたいから鼻にかけて白い太い線がある。冬は食欲が落ちるのか、ひもにえさを付けても3頭でかたまって動かないことが多い。夏になると、えさをやる前から佐々木さんの方にさーっと寄って来たりする。
えさとして、果物からニワトリの頭までいろんなものをやる。でも最初に食べるのは好物のバナナ、ふかしたサツマイモやオレンジなど。「それがなくなると、食欲に負けて何でも食べます」
昔から日本にいた動物なのかどうかは、はっきりしていない。この3頭は東京・杉並(すぎなみ)で、生まれてすぐのときに見つかった。
3姉妹なのにたまに激しいけんかをする。歯がするどく、動きもすばやいので、相手のしっぽや耳をかじってしまう。「それで2頭はしっぽがちょっと短いんです。でも短くてもそれなりにバランスをとっていますよ」
けんかの理由はよくわからない。どうしたらけんかをなくせるか。綱渡りをして、楽しみながら食事させるのも、佐々木さんの工夫のひとつだ。(文・佐々木央、写真・萩原達也)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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