(68)美しいけれど、よくけんか オスの鳴き声はうるさい
おしりの羽を大きく広げた。その一枚一枚にあざやかな青色の目玉もようが並ぶ。何かの図案みたい。その場でゆっくり回り始めた。すると、近くにいたもう1羽も同じように羽を広げる。インドクジャクは美しさを競い合っているみたいだ。

羽を広げるインドクジャクのオス。きれいなのをじまんしているみたいだ=秋田市大森山動物園
きれいな羽を持っているのはオスの方。秋田市の大森山(おおもりやま)動物園には8羽いて、そのうち4羽がオスだ。担当の獣医師(じゅういし)、高橋拓(たかはしたく)さんによると、この羽は尾羽(おばね)ではなく上尾筒(じょうびとう)というんだそうだ。
「インドやスリランカにいて、悪魔(あくま)を追いはらうとして大事にされ、王さまにささげたりもしたそうです」
夏になると、この羽が落ちる。捨てずに取っておいて、夏休みのイベントに参加した子どもたちに記念として配る。
おっとりしている感じを受けるけれど、オス同士はよくけんかをする。しつこく追いかけ回し、けり合ったりする。
「けがも多くて、出血していたり、足をひきずっていたりすることもあります。ひどいときには手当てをするんですが、そのとき、仲間から引きはなすと、あとが大変なんです」。治ってもどしたときに、よそ者とみなして、みんなで集中攻撃(こうげき)するんだそうだ。弱っている場合、よけいひどく攻撃する。
けんかに弱いオスのために、にげ場所をつくったり、木を植えたりしている。木の上に飛び上がってにげると、あんまり追って来ないからだ。
きれいだから家で飼えたらいいな。「ふつうの家では無理です。オスの鳴き声がうるさいんです。何百メートルはなれても聞こえるぐらい。近所めいわくになってしまいます」(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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