(67)ヒナを背中に乗せ子育て 口移しでえさ
あっ、ヒナが2羽も親鳥の背中にいる。水面をすいすい泳ぐ親に乗っかって楽ちんそう。背中につかまっているのか、羽の中にもぐりこんでいるのか、目をこらしてもよくわからないけれど。

親鳥の背中にしがみつくカイツブリの子ども=東京・井の頭自然文化園
東京・井の頭(いのかしら)自然文化園で水鳥、カイツブリのヒナがかえった。4羽が元気に育っている。
担当の荒井寛(あらいひろし)さんによると、ヒナはうまれてすぐに、もぐったり泳いだりできるけれど、生後10日目ぐらいまではよく親の背中に入りこむ。それからだんだん水の上にいる時間が長くなり、20日ぐらいで親の背中に乗ることはなくなるそうだ。
飼われているカイツブリのヒナが順調に育つのは日本で初めて。去年見に来たときには親が巣作りしていたけれど、あれはどうなったんですか?
「去年は卵をうんだけれど、オスとメスがけんかをして、だめだったんです。協力して子育てする状態じゃなかった」
今年も初めはあんまり仲良しじゃなかった。「この親たちは子育てをする能力がないんじゃないか」と、荒井さんががっかりするほどだった。
でも少しずつ自分たちで学んで、今ではしきりに口移しでえさをやっている。「よくこんなにできるようになったなと感動しています」
これからヒナたちも水中にもぐって小魚をとれるようにならないと生きていけない。親は1日に小魚を100匹(ぴき)以上とって食べている。このおちびちゃんたちができるようになるのかな?
「ここでとれないようなら、どこに行ってもとれない。でもそれは親が教えてくれるでしょう」。荒井さんはすっかり親鳥を信頼(しんらい)しているようだ。(文・佐々木央、写真・有吉叔裕)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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