(14)特大ベビー、元気に育つ 人なつこいオウジ
人なつこい。どんどんそばに寄ってくる。でも体重は400キロ以上だから、ふつうに受け止めたら危ない。獣医師(じゅういし)の浜夏樹(はま・なつき)先生が取っ組んでおさえてくれる。それがまた楽しいみたい。どんどんつっこんでくる。
神戸(こうべ)市の王子動物園のオウジは去年10月に生まれたばかり。日本で1番若いアジアゾウのオスだ。生まれたときに、もう大人3人分、154キロもあった。浜さんの研究によると、アジアゾウの赤ちゃんは100キロ以上だと、死んで生まれてくることが多い。オウジは特大ベビーだったけど、元気だった。

ミルクを飲むアジアゾウのオウジ=神戸市の王子動物園
王子動物園にいる両親からは4年前にもモモというお姉さんが誕生している。日本の動物園で初めてのアジアゾウの赤ちゃんでみんな大喜び。でも8カ月のとき、サッカーボールで遊んでいて足を骨折、それがもとで1歳(さい)で死んだ。「モモは骨がうすかったんです。オウジも骨が弱ければ、いつかは同じようになる」
母親が子育てをしないので、子どもはミルクで育てる。モモは日本のミルクだった。骨をつくるカルシウムの吸収がいいミルクをと、浜先生は情報を集め、オウジには外国のミルクをあたえている。オウジはそのミルクを1日10リットル以上飲み、毎日約1キロ体重が増える。
「かわいいけど、本当は野生にかえした方がいいんじゃないですか」と浜先生に聞いてみた。
「動物園の動物は『野生からの使者』です。自然の中でどう生きているのか人間に教えてくれる。ぼくらはそれを科学的に研究して、自然を学ぶんです。そのためにかれらがここにいるんだと思いますよ」(文・佐々木央、写真・萩原達也)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
- お宝映像(いきもの)

- お宝映像(南極)

- ガラパゴスの不思議な生き物

- 九州どうぶつランド
- ともにくらす コウノトリ野生復帰
- トキ便り
- いきもの変動
- 恐竜ワールド2009
- 島の仲間たち2009
- 旭山動物園


