(57)長い舌で葉っぱを巻き取る 外からも見える反すう
東京・多摩(たま)動物公園のサバンナ放飼場(ほうしじょう)にはアミメキリンやグレビーシマウマ、シロオリックスなどがいて、共通のえさやり場がある。初めにキリンが食べ、次にシマウマ、最後がオリックス。強い順だ。

清水勲さんから大好きな葉っぱをもらうアミメキリン=東京・多摩動物公園
オリックスは角が立派で強そうなのになんで最後なんですか? 担当の清水勲(しみずいさお)さんに聞いた。
「単純に大きいのが強いんです。キリンが食べていたらシマウマは割りこめない。シマウマが食べているときのオリックスもそう」
高い所につるしたかごにキリンが集まっていた。かごの中には青草。背の高い大人のキリンは届くけど、子どもは届かない。大人が落とした草を食べに来たんだろうか。「いえ、やっぱりかごから食べたいんです。届かないから、早く大きくなりたいという気持ちになるんじゃないかな」と清水さん。
えさの時間。清水さんが木の枝を差し出すと、黒い舌をベロベロ出して、葉っぱを巻き取って食べている。「首だけじゃなくて舌もこんなに長いんですよ」
多摩ではたくさんの子どもが生まれている。一番大変なのは、お母さんといっしょの産室から群れに入れるとき。仲間に認めてもらえるようにだんだんいっしょにしていく。中には、シマウマに追われて、なかなかお母さんのおっぱいが飲めなくなった子もいた。
食べていないときもずっと口をもぐもぐしている。おなかからもどしてかむ「反すう」だ。もどすとき、長い首をぐぐぐっと何かが上がっていくのが外からでもわかる。「じっと観察してみてください。顔の表情、歩き方...きっといろんな発見があります」(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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