(53)素直で人なつこい ロシアから来たロッシー
ザッブーン。背泳ぎのスタートのように体をそらせ、水に飛びこむ。楽しそうだ。
静岡(しずおか)市の日本平(にほんだいら)動物園のホッキョクグマ、ロッシーはまだ1歳(さい)。最近はこの背泳ぎにこっている。今度はボールを口にくわえてプールに放りこみ、もぐって取りにいく。こうしてほとんど1日中遊んでいる。

えさの肉やトマトを食べるホッキョクグマのロッシー=静岡市の日本平動物園
ホッキョクグマは地球全体があたたかくなる地球温暖化のせいで絶滅(ぜつめつ)が心配されている。北極の海が氷におおわれる期間が短くなったり、氷の面積がへったりすると、えものがとれなくなり、すむ場所もなくなる。野生では2万頭ぐらいまでへっている。
ロッシーはロシアのレニングラード動物園から去年7月にやって来た。ロシアでの名前は「ピョートル」。300年ぐらい前のロシアの王様の名前だ。日本ではロシアの「ロ」と静岡の「シ」をくっつけた名前になった。
飼育員の河村茂保(かわむらしげやす)さんによると、来たときは体重は約60キロ、立ち上がっても河村さんのこしぐらいだったけれど、今では150キロをこえ、河村さんと同じぐらいの身長だ。大人になると体重600キロ、3メートルにもなる。
静岡に来るときは、ロシアの飼育員がいっしょだった。飛行機の中でも何度も水をやったりしてめんどうをみていたそうだ。13時間もの長旅をして日本平に着いたのは夜11時半ごろ。ぐったりしているかと思ったら、すぐに元気に歩き回って、みんなほっとした。
「すごく人なつこくて素直な性格です。ロシアの動物園の飼育員さんが愛情いっぱいで育てたからでしょう」と河村さん。もちろん日本平でも愛情いっぱいで育てている。(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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