(52)長い顔はアリ食べるため マッサージにごきげん
「ムチャチャ、ムチャチャ」。飼育員の河村茂保(かわむらしげやす)さんが呼ぶ。1頭が近寄ってきた。河村さんが背中を指先でぽんぽんたたくと、体をゆっくり前後にゆする。口からよだれがツツー。そんなに気持ちいいのかな。

大きいのがムチャチャ。手前の小さい方がお父さんのジョッキーだ=静岡市の日本平動物園
静岡(しずおか)市の日本平(にほんだいら)動物園にいるオオアリクイのメス、ムチャチャは河村さんのマッサージが大好きだ。
細長い顔。ストローのように長く、ムチのように動く舌。前足のツメは人間の指ほどもあり、歩くときは胸に向かって曲げている。
とても変わった姿は、すべてアリやシロアリを食べるためだ。アリづかをツメでこわし、巣の中に顔をつっこみ、60センチもある舌でアリをなめとる。舌は1分間に150回も出し入れする。アリがくっつくように、だ液はねばねばだ。アリの巣を次々さがして、1日に3万匹(びき)も食べるといわれている。
動物園でそんなにアリを食べさせることはできない。そこで特別の食事を作る。トリ肉や牛レバー、ドッグフード、卵、ヨーグルトなどをミキサーにかけてどろどろに。最後にお湯を加えてあったかくする。
体温は約33度、哺乳(ほにゅう)類の中でも低い。ということはエネルギー量も低く、けがや病気になるとなかなかなおらない。おなかもこわしやすい。ヨーグルトを加えたのも、少しあたためるのもそのためだ。
マッサージだって喜ばせるためだけにやっているのではない。「動物はしゃべれません。けがをしていないか、はだあれしてないか。そのときに体調をよく観察するようにしているんです」(文・写真、佐々木央)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
- お宝映像(いきもの)

- お宝映像(南極)

- ガラパゴスの不思議な生き物

- 九州どうぶつランド
- ともにくらす コウノトリ野生復帰
- トキ便り
- いきもの変動
- 恐竜ワールド2009
- 島の仲間たち2009
- 旭山動物園


