(11)ヒナにやるえさに苦心 小笠原だけにいる鳥
「きれい、いろんな色が入ってる」。見ていた女性がとなりに話しかけている。ずんぐりした体、全体は黒っぽいけど頭は名前のとおり赤みをおび、首のあたりはつやつやして、光のかげんで紫(むらさき)や緑、黄色にも見える。
東京・上野動物園の神門英夫(こうど・ひでお)さんの名刺(めいし)には「アカガシラカラスバト担当」と書いてあり、その写真まで刷りこんであった。「担当したから好きになったんですか」と聞くと「わたしはもともとハトやなんかが好きなんです」とにっこりした。

首のあたりの色が美しいアカガシラカラスバト=東京・上野動物園
東京から南へ1000キロ、小笠原(おがさわら)諸島にいる。そこには昔、人間もアカガシラカラスバトの天敵もいなかった。だから警戒心(けいかいしん)がない。えさの木の実は地面を歩いて探す。
その後、島には人間が来て、ネコやネズミも入ってきた。にげないからネコにおそわれる。ネズミには木の実をうばわれた。台風にもやられ、40羽ぐらいまで減ってしまった。そこで7年前、3羽を上野動物園に連れてきて増やした。いま上野と多摩動物公園(たまどうぶつこうえん)(東京都)に計21羽いる。
最近、なぜか卵を産んでも育てない親が出てきた。ヒナの最初の時期に親鳥は、のどから特別なミルクのようなものを出してヒナにあたえる。それがないと育たない。
成分を調べて同じようなものをやってもうまくいかないので、神門さんはインコのヒナのえさを使ってつくってみた。そうしたらうまく育ってきた。どうしてインコを思い付いたんだろう。
「インコってハトと食べるものがよく似てるんです。わたしはハトも好きですけど、インコもすごく好きで自分でも飼ってるんです」(文・佐々木央、写真・萩原達也)

佐々木央(ささき・ひさし)1956年青森県生まれ。共同通信編集委員。社会部で教育問題や少年事件を長く取材してきた。著書に若者の生きづらさを取材した「未来なんか見えない 自傷する若者たち」(共同通信社刊)がある。
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