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no35

町工場の〝パス回し〟描く 「黒鉄ボブスレー」土屋雄民さん 12.25

 東京都大田区の町工場が中心となって国産そりを開発し、冬季五輪を目指すプロジェクト「下町ボブスレー」をモデルにした漫画「黒鉄ボブスレー」の土屋雄民さんに、プロジェクトや競技の魅力を聞いた。

町工場の〝パス回し〟描く 「黒鉄ボブスレー」土屋雄民さん

「黒鉄ボブスレー③」

町工場の〝パス回し〟描く 「黒鉄ボブスレー」土屋雄民さん

ⓒ土屋雄民/小学館

「氷上のF1」と呼ばれる迫力ある滑走シーン

町工場の〝パス回し〟描く 「黒鉄ボブスレー」土屋雄民さん

「モノづくりのすごさを漫画で表現するのは難しかった」と語る土屋雄民さん

なるほど

 2012年の終わりごろ、ソチ五輪を目指す下町ボブスレーの特集をニュースで見て、小さな力が集まって最後に大きな敵を倒す、少年漫画のような構図が頭に浮かびました。


 13年2月から取材を始め、2週間ほど工場でアルバイトのようなこともしました。皆さん通常業務以外の時間でボブスレーに取り組んでいて、町おこしのために文化祭で一致団結しているような雰囲気でした。


 あらゆる注文に対応する技術の高さ、納期に間に合わせるスピードはもちろんですが、それを持った企業が集まっているのが本当にすごいところ。互いの得意分野を理解してチームワークを発揮しています。


 「仲間まわし」というネットワークがあって、受注した仕事で自社では対応できないところを、近くの別会社に頼みに行って期日までに完成させる。企業間でパスが通って一つ一つの部品ができあがり、ボブスレーはその結晶です。


 サッカーでもすごく気持ちよくパスが通って、ゴールが決まると最高ですよね。技術と経験、実績を兼ね備え、それぞれに認め合った人たちだからこそ、困難に思えるようなことができたのでしょう。


 実際に長野市の競技場で下町ボブスレーのそりが滑走する姿を見て、スピードと音、迫力に圧倒されました。「氷上のF1」という表現は大げさではありません。多数の取材陣も詰めかけていたので、競技に注目を集めるという意味で、プロジェクトは成功だったと思います。


 残念ながらソチで下町ボブスレーは不採用でしたが、作り手と乗り手の連携を深める時間が十分にあるので先行きは明るい。18年平昌五輪には初の国産そりの雄姿が見られると期待しています。

 

土屋雄民さん略歴

 つちや・かつひと 1986年名古屋市生まれ。2008年にデビュー。「黒鉄ボブスレー」は小学館から全3巻が発売中。

 

国産そりで平昌目指す

 「氷上のF1」と呼ばれるボブスレーは欧米では人気のスポーツ。イタリアやドイツでは自動車メーカーのフェラーリやBMWがそりの開発競争を繰り広げているが、日本の選手たちは強豪国の既製品や中古品を改良して競技に臨み、トレーニングをしているのが現状だ。
 下町ボブスレーの国産そりは、男子2人乗りで2014年のソチ五輪を目指したが、機体に改良点が見つかったため採用が見送られた。引き続き、18年平昌(ピョンチャン)五輪を目指している。(近藤誠)


 

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