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金魚すくいの魅力伝える 「すくってごらん」大谷紀子さん 12.16

 金魚すくいにのめり込んでいく眼鏡スーツ男子が主人公の異色の漫画「すくってごらん」の作者、大谷紀子さんに金魚すくいの魅力を聞いた。

金魚すくいの魅力伝える 「すくってごらん」大谷紀子さん

「すくってごらん」

金魚すくいの魅力伝える 「すくってごらん」大谷紀子さん

ⓒ大谷紀子/講談社

「ポイ」の質を見分けるのも勝負のうち

金魚すくいの魅力伝える 「すくってごらん」大谷紀子さん

ⓒ大谷紀子/講談社

大谷紀子さん自画像

なるほど

 奈良県大和郡山市で金魚すくいをスポーツのように楽しんでいることを知り、「漫画にできるかも」と取材のために足を運びました。マンホールには金魚の絵、お土産屋さんには金魚グッズが並んでいました。


 一年中金魚すくいができる道場があることにびっくり。アポなしで訪れたのに、4時間半も金魚すくいの奥の深さを教えてもらいました。道場生には段位があり、神奈川県から毎週末に通っている人もいるそうです。


 丸い枠に和紙を張った「ポイ」にも一つ一つ質の差があり、選ぶ時から勝負は始まっています。小さくて動きがにぶい金魚が狙い目。もちろん実践するには練習が必要です。


 8月下旬に大和郡山市で開かれた全国金魚すくい選手権大会にも行きました。優勝者がすくったのは3分間で45匹! 上級者は皆さん目と手の動きが速く、ポイから水圧の逃がし方がうまい。金魚をなるべく枠に乗っけて真ん中には乗せないよう徹底していました。私もゲストとして参加しましたが、見るとやるとは大違いで、1匹しかすくえませんでした...。


 会場の熱気がすごくて、見ているだけで楽しかった。ポイが破れて和紙の部分が4分の1しか残っていないところから、あきらめずに5、6匹すくった選手には驚かされました。老若男女がわけへだてなく競える、昔ながらの遊びで世代を超えてつながるのはすてきだと思います。


 実は、金魚すくいの面白さを絵で表現するのは難しいんです。手は必要最小限しか動かさないし、競技中は無言なので本当に静か。悩みましたが、ダイナミックな動きや水しぶきで、楽しさや熱さを描いています。


 市長さんには、6月の定例会見で作品を紹介してもらいました。出会いに恵まれて、どんどん金魚すくいにのめり込んでいく主人公は私そのもの。たくさんの人に読んでもらうことで、恩返ししたいですね。

 

大谷紀子さん略歴

 おおたに・のりこ 岡山市出身。2000年デビュー。代表作は「ミエリーノ柏木」「メランコリック」など。「すくってごらん」は「BE LOVE」で14年から連載中。

 

江戸時代の武士の副業

 奈良県 大和郡山市は、東京都江戸川区、愛知県弥富市と並ぶ全国有数の金魚の生産地。農業用のため池が数多くあり、幕末のころになると、藩士の副業として、明治維新後は、職禄を失った藩士や農家の副業として盛んに行われるようになった。


 毎年8月に「全国金魚すくい選手権大会」が開かれている。枠に和紙を張った「ポイ」は、水がたまらない方を上にして持ち、最初に全部ぬらすのがコツだ。


 水の抵抗を少なくするため、ポイは斜めから水に入れて、水の中では平行移動を心がける。尾を紙の上に乗せると破られてしまうので、頭の方からすくう。最後に斜めにポイを引き上げ、器の中に金魚を運ぶ。

 

取材こぼれ話

 インタビュー時はまだ半袖を着ていたのですが、すっかり12月・・・。「このマンガがすごい!2015」オンナ編で14位にランクインし、来年さらなる飛躍が期待される「すくってごらん」は、作者大谷紀子さんの旺盛な好奇心から生み出されたそうです。

 担当さんとの雑談で、「金魚すくい」が面白そうと聞くや、連載の具体的なメドがあるわけでもないのに、大和郡山市で取材を敢行。現地での出会いに恵まれて、連載に至ったことはインタビューの通りです。担当さんは、大谷さんを「好奇心の塊。作家の手にかかれば、金魚すくいもマンガになるんだと興味の広げ方に驚かされます」と評していました。

 ちなみに個人的な名シーン「煮干しスプーン」について、大谷さんは「家で練習するときってどうするんだろうと考えました。こあか(金魚)に近い大きさ...、あっ煮干しか!って。 完全に想像で漫画的表現ですね。でも、練習になるのかなあ?」と笑いながら教えてくれました。(近藤誠)

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