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俳句の熱いバトルを描く 「ぼくらの17-ON!」アキヤマ香さん 12.10

 「俳句甲子園」出場を目指す高校生たちの青春を描いた漫画「ぼくらの17―ON!」の作者、アキヤマ香さんに、俳句甲子園について聞いた。

俳句の熱いバトルを描く 「ぼくらの17-ON!」アキヤマ香さん

「ぼくらの17-ON!」

俳句の熱いバトルを描く 「ぼくらの17-ON!」アキヤマ香さん

©アキヤマ香/双葉社

俳句を発表する主人公、久保田莉央

俳句の熱いバトルを描く 「ぼくらの17-ON!」アキヤマ香さん

©アキヤマ香/双葉社

アキヤマ香さん自画像

なるほど

 初代の担当編集者が俳句をかじっていて、松山市に「俳句甲子園」があると教えてくれました。お年寄りのものというイメージの俳句と甲子園の組み合わせって新鮮で面白い、漫画で描いてみたいと思ったんです。

 去年と今年、俳句甲子園を取材しました。5人一組のチームが俳句そのものの評価と、句に対する質疑応答(鑑賞)の評価で勝敗を競います。

 白熱する質疑応答は、熱いバトルの場で文化系の部活と思えないほど。高校生たちは、YouTube(ユーチューブ)に投稿された全国大会の動画を見て、質疑応答を研究しているそうです。

 気持ちが沸き立つ経験は、高校時代だけに味わえる特権です。赤か白か。旗が上がって勝負が決まる瞬間は本当に緊張します。スポーツ的なルールで、漫画に向いていますね。


 作中の俳句は、俳人の佐藤文香さんの協力です。歳時記をめくると「ブランコ」とか、意外な季語があって面白い。そこからシチュエーションを考えて、佐藤さんに作ってもらっています。


 俳句経験が豊富な部長は枯れた味わいの句、反対に素人である主人公はあまり型にはまらない自由な句、女子キャラクターは恋の句が多いなど、キャラによって違った雰囲気の句をお願いしています。


 俳句甲子園のことだけでなく、普通の高校生が新しいものに出合ったときの衝撃や喜び、新しい出合いを描きたいんです。等身大の気持ちを漫画の中で俳句としても出していくつもりです。


 俳句をするようになると、目に飛び込んでくる物全てが新鮮に感じるので、人生がお得になると思います。作品を読んで俳句部をつくってくれたらうれしい。メジャーでないので、部員集めが大変みたいですけどね。

 

アキヤマ香さん略歴

 あきやま・かおり 埼玉県本庄市出身。漫画家になる夢を諦めていたが、結婚、出産を経て一念発起して2006年にデビュー。代表作の「アスコーマーチ!~県立明日香工業高校行進曲~」はテレビドラマ化された。「小学5年の娘がベタ塗りを手伝ってくれています」

 

五・七・五の甲子園

 俳句は五・七・五の17音と季節を表す「季語」を用いて、感じたことや発見したことを表現する定型詩。五・七・五の形でなく、季語が無いものもある。
 俳句甲子園は1998年、正岡子規などの俳人を輩出した松山市の町おこしを狙って始まり、高校生俳句部員の"聖地"として定着した。
 16回目のことしは各地の予選に30都道府県の84校から125チームが参加。東京都の開成高校が7度目の優勝を果たした。試合は5人一組の2チームが互いに句を披露。俳句の出来栄えだけでなく、3~4分間の激しい質疑応答を含めた評価で勝敗を決める。

 

取材こぼれ話

 都内某所で、アキヤマさんと担当編集者のMさんを交えてのインタビュー取材。アキヤマさんは仕事と家事で多忙の中、快く取材に応じてくれました。2年続けて俳句甲子園を取材した体験を「自分がだらだらとした高校生活を過ごしていたので、熱気と本気にあてられました。輝いた時間を過ごしている姿がうらやましいと思いました」と振り返ってくれました。

 作中の俳句は俳人の佐藤文香さんの協力ですが、主人公の久保田や女子キャラ小西の「迷句」は、実はアキヤマさん作だと明かしてくれました。 

 取材のもう一つの楽しみは、担当編集者の方も交えた漫画談議。「漫画を主食にしてきた」(M氏)3人が、「バナナフィッシュ」「クレヨンしんちゃん」などなどについて語り合ったのでした。(近藤誠)

 

 

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