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演劇、劣等感も武器に 「犬神もっこす」西餅さん 03.19

 北九州市にある大学の演劇研究会(劇研)を舞台にしたギャグ漫画「犬神もっこす」を描く女性漫画家、 西餅 さんが自身の体験をもとに“演劇のすすめ”について語った。

演劇、劣等感も武器に 「犬神もっこす」西餅さん

「犬神もっこす」単行本の表紙

演劇、劣等感も武器に 「犬神もっこす」西餅さん

©西餅/講談社

西餅さん自画像

演劇、劣等感も武器に 「犬神もっこす」西餅さん

©西餅/講談社

熊本県のゆるキャラ、くまモンも活躍

なるほど

 大学入学後、サークルに入らないと友達ができないなと劇研に入りました。最初にもらったのは妖怪役で、人前で舞台に立つことに抵抗があったけど、1回目が終わると「またやりたい」とすぐに思った。本番中の熱気、スピード感と緊張感に加え、「あっ、笑ってくれるんだ」って、目の前でお客さんのナマの反応が分かったんです。


 舞台って思っているほどこわくない。せりふを覚えて演じることで精いっぱいで、お客さんを気にする余裕はなくなります。度胸もつくので、「楽しいことがない」「何をしていいか分からない」って人におすすめ。


 経験したことがない世界で別の人間になりきり、感情を爆発させる。エネルギーと熱気で、観客の感情を揺さぶることができる。そして、舞台と客席が近い小劇場演劇を見ること自体が、テレビや映画にはないエキサイティングな娯楽です。


 みんなが二枚目や美人である必要はありません。個性的な当たり役で客をわかせて主役よりも評判になるなど、容姿にあまり関係なく輝ける場所だと思います。どもっていたり、挙動不審っぽかったりといった個性やコンプレックスも、その人だけの武器になる。


 男性は笑いが取れるともてます。花束をもらったり、ファンがついたり、意外な結果がついてくるのでおすすめです。


 漫画の主人公、犬神君のキャラクターは、周囲の変な人や感情の起伏が少ない人、空気が読めなくておばちゃんみたいにずけずけ言う友達などを混ぜて生み出しました。演劇の人脈が漫画づくりに役立ちましたね。


 演劇をしているときから、人に笑っていただくことが好き。貧乏な劇団時代のエピソードがまだまだあるので、これからも笑える作品を描き続けていくつもりです。

 

 

西餅さん略歴

 にしもち 1976年生まれ。北九州市立大在学中に演劇を始める。卒業後に上京し、30代前半まで劇団を主宰。専業主婦を経て、2011年に漫画家デビューした。「犬神もっこす」では熊本県のゆるキャラ、くまモンも活躍する。「くまもとブランド推進課に監修いただきました。無名の漫画なのに太っ腹ですね」

 

体育会の要素も

 演劇は舞台上で演じる役者に加えて照明、大道具、小道具、音響など多くの「裏方」によってつくられる総合芸術。小さな劇団では、役者も裏方も両方することがほとんどで、女性も金づちやのこぎりを手にする。

 役者には演技力以外に体力が必要。発声練習のほかに日々の筋力トレーニング、ランニングなど体育会系の要素も強い。

 1980年代、東京、大阪を中心に小劇場ブームが起き、そこから多くの俳優や劇作家が羽ばたいた。肉声が届き、衣装やメークが肉眼で見えるほどのせまい空間は、舞台上の熱気が客席にダイレクトに伝わる。 現在は東京、大阪以外に拠点を置く「地域演劇」の活動も盛んになっている。

 

 

取材こぼれ話

 「専業主婦をしていて、資格もないのでマンガを描こう」「描いたからには1度プロに見てもらおう」とアグレッシブに投稿して見事にデビュー、連載を果たしたという西餅さん。

 「美人はお金になるんだよ!」という犬神君の心を揺さぶった直球過ぎる名言については、「実体験から来る心の叫びです」ときっぱり。「美人をまじまじと見つめても大丈夫な場所です」と観劇をオススメしてくれました。

 インタビュー前、「犬神君みたいな人が来たらどうしよう・・・」とドキドキしていました。実際の西餅さんの印象は、もちろん秘密です!(近藤誠)

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