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2011.10.07

世界は美しいと描き続ける  岩手で被災、とりのなん子

 庭を訪れる野鳥の営みや北国の森羅万象を描く人気漫画「とりぱん」の作者とりのなん子さんは、東日本大震災の体験をいち早く作品として発表した。

 岩手県内陸部の新興住宅地に住むとりのさんは大震災後、停電と電話の不通で連載雑誌「モーニング」編集部と連絡不能になった。原稿のストックがあり、2005年4月から続く連載が途切れずに済んだのは不幸中の幸いだった。

 「『とりぱん』は楽しい気分になってもらうもの。問題提起や暗い話題は描かないようにしてきたけれど、ノンフィクション漫画として避けて通るわけにはいかなかった」と振り返る。被災1週間後には、3月11日夜の体験、そして思いを込めたネーム(ラフ)を描き上げた。

 単行本11巻掲載の前後編計10ページには、暗闇で一人過ごす不安や繰り返す余震への恐怖、停電復旧後に見たテレビで、津波で多くの犠牲者が出たことを初めて知らされた時の衝撃などが、静かなトーンで描かれている。

 津波やがれきの絵は描かなかった。「身の回りで見聞きしたことを描くスタンスを変えたくなかった。ニュースでは見たけれど、それをしちゃうと"神の目線"になってしまう」 何事もなかったかのように街中を飛び回る野鳥たち―。あまりに対照的な人間社会の無力感に落ち込んだとりのさんだが、それでも日常を取り戻すために役割を果たそうとする人々の姿を見て、心が奮い立った。

 「失われた町の楽しかった思い出を、世界は美しいということをこれからも描いていく。それが私の役割です」(近藤誠)

 

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   (©とりのなん子/講談社)

 

※さらにボリュームたっぷりのインタビュー記事もお楽しみください!

(インタビュー その1)

(インタビュー その2)

(インタビュー その3)

 

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