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 安倍晋三首相が訪ロし27日、モスクワでプーチン・ロシア大統領との首脳会談を行った。両者の会談は第1次安倍内閣時代も含めると、実に17回目。北方領土、北朝鮮問題で日ロ双方がそれぞれの思惑をもって会談に臨んだが、すれ違いが目立つものとなった。

 会談は予定時間から30分遅れで午後2時半にクレムリンで始まった。遅れの理由は明らかにされなかったが、昨年12月の山口での首脳会談同様(約2時間40分遅れ)に「遅刻魔」のプーチン氏が遅れたものとみられる。会談は通訳を交えた1対1の協議を含め計3時間余り行われた。

 会談での日本側の狙いは何だったのだろうか。来年3月にプーチン氏の6年間の任期満了に伴う大統領選が行われることは周知の事実。有力な対抗馬はおらず、プーチン氏の再選が確実視されているものの、モスクワなどロシアの主要都市で先月26日には、プーチン政権による汚職に抗議するデモが行われ全国で数万人の市民が参加するなど一部では政府への反発は根強い。2014年のウクライナ領クリミアの併合を受けたナショナリズムの高まりにより急上昇したプーチン氏の支持率はなお80%台を維持しているものの、原油価格下落と欧米の制裁により景気は低迷、経済政策を担当し緊縮財政を強いているメドベージェフ首相に対しては最近の調査で不支持が支持率を上回り、議会への支持率も低空飛行を続けている。

 プーチン氏は、領土問題で大幅な譲歩ができる状況にはとてもなく、日本側としては12月の会談で合意した北方領土の共同経済活動などの実現に向け課題を一つ一つ解決していき、プーチン大統領再選後を視野に領土問題解決への糸口をつかみたいとの思いだったろうが、クレムリンの対応は冷ややかだった。ペスコフ大統領報道官は、首脳会談終了を待たずにクレムリン担当の記者団に対し、平和条約締結を待たずに様々な分野での日ロ協力を「シャツの袖をまくって(ロシア語で仕事に取りかかる際の表現)」進めるべきとの考えを強調。領土問題を棚上げして、経済協力を進めたいとのロシア側の思惑を強くにじませた。

 北方領土の共同経済活動についても、「(日本の軍国主義を打倒した)第2次大戦の結果としてロシア領になった」とのロシアの主張はみじんも揺らいでおらず、ロシアの法制に基づき開発すべきとの立場は変わっていない。会談の成果の目玉となった活動実現に向けた「官民合同の調査団派遣」について知日派のクナーゼ元外務次官はロシアのニュースサイト「ガゼータ・ルー」に「(成果を示すための)PR行為」と指摘した。北方領土ではロシアの軍事施設建設や土地の譲渡に関する法制の整備も進んでおり、実効支配の強化が続いている。

 もう一つの焦点である、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応を巡っても挑発行為への自制を求めることでは一致したものの、米国の同盟国として強い圧力をかけるべきだとの日本の立場と、外交努力を通じた解決を主張し、米国の軍事行動に断固反対するロシア側との間には大きな隔たりがあった。プーチン大統領は首脳会談後の共同会見で、ロシアも当事国である6カ国協議再開の必要性を唱えたが、既に5回も核実験を行い弾道ミサイルの発射実験を繰り返す北朝鮮側が応じる可能性は低く、協議自体が「北朝鮮の核開発の時間稼ぎに使われた」と批判されている現状では現実味のない提案で、日米との認識の開きを露呈するだけとなった。

 さらに、北朝鮮の主要な外貨獲得源として数万人ともいわれるロシアでの北朝鮮労働者の存在が挙げられている上に、最近もロシア極東ウラジオストクと北朝鮮北東部の経済特区を結ぶ定期航路が開設され、日本政府が入港を禁止した「万景峰号」が使われることが明らかになるなど、両国間の経済的結びつきを強める動きもあり、ロシアがどれだけ本気で北朝鮮に圧力をかける用意があるのか疑問視する声が強い。

 共同会見で安倍首相はプーチン大統領のファーストネームである「ウラジーミル」(ミドルネームに当たる父称を使った「ウラジーミル・ウラジーミロビッチ」とした方が、敬意と親しみを同時に表せてさらに良かったと思うが)を使い、従来同様に親密な関係をアピールしようとしたが、プーチン氏は「ガスパジーン・シンゾー・アベ(安倍晋三さん)」と応え、両者の温度差を印象づけた。 (47NEWS編集部 太田清)

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