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▽きょうは八つ当たり
けさの金環日食は、私の住んでいる地域では小雨まじりの天気で、雲の切れ間から2,3秒見えただけだった。きれいな輪になってはいたが。
それにしても、人々の関心の過度の集中ぶりはなんとかならないものかと思う。900年ぶりというのだから、非常に珍しい自然現象であることはたしかだし、子どもたちに科学的な興味を抱かせるにはいいチャンスからもしれない。しかし、ワイドショーが「世紀のイベント」とはやし立て、便乗商法や結婚式まで現れる。「お祭りだ」と、多くの人が大はしゃぎで跳ね回る。いくらなんでも騒ぎすぎだ。
あすの東京スカイツリー開業も大騒ぎになるだろう。ただ、金環日食を見なくたって、スカイツリーに行かなくたって、われわれの生活に変わりはない。こう書けば無粋といわれるかもしれないが「みんなやってる」が「自分もやらなくちゃ」に簡単に結びつくのが、わが民族の昔からの特色だ。すぐ、オリンピックやワールドカップの時のように「日本中が注目している」ことになってしまう。
魅力的な俳優が登場すれば、ドラマ・バラエティー・CMと、テレビで顔を見ない日がないようになる。かわいい子役が人気になれば、その子以外の子役は世の中に存在しないようになってしまう。そして、しばらくたつと忘れ去り、別の人物に関心を移す。その繰り返し。
ついでに言わせてもらえば、この「関心の横並び」は、いまも何かあるたびに聞かれる「感動をありがとう」というフレーズとも関連する。感動は、あくまで本人が「する」ものであって「させられる」ものではない。さらに、感謝の対象になっているのは、ほとんどプロの人たちの存在や行為。彼らが人を「感動させる」のは当たり前だ。
それもこれも、日常や現実に夢や希望を持てないまま、それを紛らすためにも、大勢との一体感を得るためにも、一瞬の娯楽に自分も“乗る”しかない―そんな社会なのだろう。でも、その陰で、消費税値上げは着々と現実化していくし、東日本大震災の復興は遅々として進まず、原発は、事故がなかったかのように、再稼働を始めつつある。それ以上に、個人の課題は山積みだし、対応は喫緊だろう。そんな時に金環日食だの、スカイツリーだの…。ほかに考えることがあるだろう、と言いたい。という八つ当たりできょうは失礼。(2012年5月21日 47NEWS編集部 小池新)

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