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 言うまでもなく世界最大の国土を持つロシアは広大な国だ。その広さは日本の約45倍。しかし、この広大な土地に外国への査証(ビザ)を発給する拠点が一つしかないならばどうなるか。首都モスクワにしかなければ、極東やシベリヤの人たちは旅行や出張前に、いったん長距離の航空便を使ってモスクワを訪れ、審査や手続きを受けなければならなくなる。何という不便だろうか・・

 在ロシア米大使館は21日、ロシアが米国の制裁に反発し駐在する米外交官や現地職員の大幅削減を求めたことを受け、ビザの発給審査を今後、モスクワの大使館だけで行い、第2の都市サンクトペテルブルク、ウラル地域のエカテリンブルク、極東のウラジオストクにある三つの総領事館では停止すると発表した。米大使館は「ロシアによって取られた米外交職員の削減に伴う」対応だとして、業務に携わる職員がいなくなるためのやむを得ない措置との考えを示した。

 米国の対ロ制裁強化に反発したプーチン政権は米国に対し、9月1日までにロシア駐在の外交官や現地職員らをロシア側と同数の455人にするよう要求。これにより米国は大使館や総領事館の人員の約6割に当たる755人の削減を迫られていた。米大使館は人員削減の要求を満たすため、米国人外交官の帰国の前にまず、通訳やビザ発給に携わっているロシア人スタッフの解雇で対応するとみられていたことから、発給などの業務に大きな支障が出ることは必至の状況だった。マイケル・マクフォール前駐ロ米大使も自身のツイッターでビザ発給の長期化が不可避になると予想していた。

 旅行や商用、親戚や知人との再会のため毎年、多くのロシア人が米国のビザを申請しているが、ロシアの英語ニュースサイト、モスクワ・タイムズによると、昨年、大使館や総領事館で発給されたビザは約18万人分以上。今回の混乱で、ロシアの旅行業界はビザ発給までに要する期間は半年にも及ぶと予想。地方に住む人はもちろん、モスクワの市民にも大きな被害が及ぶのは避けられない状況だ。

 ロシアのラブロフ外相は米大使館の措置について、ロシア国民がプーチン政権に不満を抱くよう仕向けるのが狙いだと非難しながらも「米国民に怒りをぶつけることはない」と述べ、直ちに報復措置を取らない考えを示した。それはそうだろう。「米国のビザをほしがるロシア人の方が、ロシアに行きたい米国人よりずっと多い」(ニュースサイト、ガゼータ・ルー)状況では、たとえロシアが米国人旅行者に嫌がらせをしても効果は限られている。

 まさに対米制裁で自分の首を絞めた形のロシアだが、ロシアの制裁措置でロシア人自身が苦しむ結果となったのはこれが初めてではない。米国では2012年、ロシア内務省当局者の巨額横領を告発した人権派弁護士マグニツキー氏が逆に逮捕され、獄中死したことをきっかけに人権侵害に関与したロシア当局者への米国ビザ発給停止や資産凍結を定めた通称「マグニツキー法」が成立。反発したロシアが取った対抗措置はなんと、米国人がロシア人の子供を養子にすることを禁じる法だった。

 アルコール中毒や未成年者の望まない妊娠、乳幼児虐待などでロシアでは孤児施設に多くの子どもが預けられているが、資金不足や施設の老朽化で劣悪な環境に置かれている子どもが多い。このため、米ロ双方の当局が協力し、米国の両親への養子縁組が盛んに行われており、ソ連崩壊から養子禁止法成立まで6万人以上の子どもが海を渡り、米国人の養子となった。

 一部で、米国人養父母の虐待なども報じられたが、大半の子どもは比較的経済的に余裕のある両親の元、幸せに暮らしている。しかし、ロシアの保守勢力が中心となって提出された法律の成立後、米国への養子は不可能となり、多くの子どもが施設で不遇な生活を送るほか、施設にも入れず父母の虐待で死亡するケースも相次いでいる。プーチン大統領が署名して成立したこの法律には、さすがに国内でも「ロシアの子どもを苦しめるだけだ」との批判の声が上がった。 (47NEWS編集部 太田清)


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2017年08月23日

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