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▽攻撃的なオタク
古い日本映画を見に、東京・京橋の国立近代美術館フィルムセンターに行くことがある。しばらく前、こんな光景に出合った。上映前、斜め前方の席で話をしていた2人連れの中年男性の1人に、青年が近づき、何か言葉をかけた。中年男性はけげんな表情を見せ、通りかかった制服の警備員に質問。答えを聞いて大きな声を出した。「えっ、アメもいけないの!?」。ようやく分かった。彼はアメをなめていて、青年に注意されたのだ。納得がいかないようだったが、それ以上は何も言わなかった。
フィルムセンターは「ほかのお客さまのご迷惑になりますので」という理由で「客席での飲食お断り」をうたっている。上映前にアナウンスもある。アメをなめるのも「飲食」に当たるという解釈なのだろう。しかし、注意された中年男性同様、私にも不満がある。その後、アンケートがあったので、こう書いた。「せんべいをバリバリ音を立てて食べるのが迷惑なのは分かるが、アメまで禁止するのはやりすぎ。風邪でのどアメをなめている人はどうするのか?」
国立国会図書館も館内でガムをかむのは禁止されていて、時折、職員が注意している。間違って本に張り付いついてしまうのを恐れてのことだろうが、これも私に言わせればやりすぎだ。
しかし、それ以上に分からないのは、客同士なのに、とても迷惑がかかっているとは思えないのに、わざわざアメをなめている人に「ダメ」と言いに行く神経だ。注意した青年は明らかに、フィルムセンターに多い「映画オタク」だ。オタクといえば、自分の趣味・嗜好に浸って、周りを見ない人たちだと思っていたが、最近は変わってきたのか。「他罰的」というか、攻撃性が目立つように思う。
考えてみれば、こうした取り決めを強く求めるのは、施設側よりも利用客の方だ。それも、最初は「うるさい」「迷惑」などという正直な感情だったのが、取り決めが確認されると、今度は「取り決めがそうなっているから」という理由が先行するようになる。施設側も、文句を言われないためには、杓子定規に運用するしかない。実質よりも形式の優先。ここにも、いまの社会の性向が表れているのかもしれない。(2012年2月7日 47NEWS編集部 小池新)

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