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 2014年に開業した超高層ビル「虎ノ門ヒルズ」(東京都港区)の3階に「ザ・サードカフェ by スタンダードコーヒー」というカフェがある。おしゃれな雰囲気の漂うこの店で、半年ほど前からちょっと気になる美術展のシリーズが始まった。

 銀座の画廊などでは1週間程度の会期が多いというが、ザ・サードカフェの場合は6週間ほどにわたって展示する。その後も渋谷とたまプラーザにある系列店「ロイヤルガーデンカフェ」に巡回するから、自然、多くの人の目に触れることになる。アートがプロの世界だけにとどまらず、世の中に広まっていくためには、とてもよいことなのではないかと思った。

 今回見に行ったのは、日本画家中村潤子さんの個展(2016年11月11日~12月23日)。1931年に東京・神田で生まれた中村さんは東京芸術大などで学び、国内外の美術館や画廊で活発に作品を発表している。今回はインドネシアやインドへの旅で出合った風物を描いたものを集めた。大小十数点が飾られているが、ジャワ島の人形芝居の人形を描いた2枚の絵は、いったん眺めだしたらなかなか目が離せなくなった。顔も衣装も地の部分も、すべてが美しい色と強い力感で迫ってくる。

 画廊の内部は普通、白い立方体の無機的な空間だが、ザ・サードカフェには広い窓もあれば、ウッディなテーブルも柔らかなソファもある。店の運営をしている方々がおっしゃるには、カフェは日常なのである。そこに日常を超えたアートが息づいているのを感じられるなら、カフェでの楽しみも増すだろう。

 ザ・サードカフェは音楽とのコラボレーションにも力を入れている。入り口近くにDJのコーナーがあるのは単なる飾りではなく、実際にここで毎週火曜と金曜の夜、DJが選りすぐった音楽をプレイする。私がいた晩はコンテンポラリージャズ、ソウル、ワールドミュージックなどがかかっていた。DJはその場の空気を感じ取り、選んだ音楽でそれを動かしていく。有線放送のBGMではできないことだ。

 美術の企画が始まったのも、元はといえば音楽が接点だった。ニューヨークで活躍するジャズベース奏者で写真家の中村照夫さん(中村潤子さんの弟でもある)がDJの仲澤剛さんに誘われて店を訪れ、雰囲気が気に入って自分の写真展を開いたのが半年前。それを皮切りに展覧会がシリーズ化した。カフェは昼のものと思われがちだが、こういう店ならむしろ夜に行きたくなる。

(47NEWSエンタメ編集デスク 松本泰樹) 

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