PR特集

国際高専、来春開設へ 白山のふもと、英語で教育

構想中2018年4月、金沢工業高等専門学校は、国際高等専門学校に変わります。
※計画中の内容であり、変更となる場合があります。

 日本3名山のひとつ、白山のふもとに、グローバル人材の育成を前面に打ち出す「国際高等専門学校」(石川県白山市)が2018年4月に開設される。

 金沢工業高等専門学校(同県金沢市)から校名変更し、白山市に「白山キャンパス」を新設。英語での授業を大幅に増やすなどカリキュラムを一新する。産業構造が大きく変わる中、国際的な視点を持つイノベーターを育てるため、校名から「工業」をあえて外す。思い切った教育方針に全国から注目が集まっている。

国際高専のビジョンを語る
ルイス・バークスデール校長

 ▽授業は英語

 「日本中から、世界中から集まった学生が教員と恵まれた自然の中で生活をともにし、英語や工学を学びます。少人数(1学年90人)での全寮制生活で、さまざまな考え方や文化を身につけます。国際舞台で活躍する人材が巣立っていくことでしょう」。金沢高専のルイス・バークスデール校長は、白山キャンパスの完成予想図をみながら笑顔を見せた。

きめ細やかな教え方で英語力をアップ

 カリキュラムは英語を重視している。1年生15歳からテクノロジーの基礎となる科目として、数学、物理、化学を英語で学ぶ。

 アメリカで主流になりつつある、S(Science)、T(Technology)、E(Engineering)、M(Mathematics)教育を導入する。英語が得意でない学生も、1年生の前期に「ブリッジ・イングリッシュ」という科目を設けて、支援する。ブリッジ・イングリッシュでは、少人数で、理科系で使われる専門用語のほか、会話に必要な基本的な英語をきめ細かく指導する。教員は、米国、中国、ベトナム、エジプトなど世界から招き、将来的には教員60人のうち、半数を、英語を話せる教員とする予定だ。日本人はとかく外国語をしゃべるのに臆病だが、この教室では、間違えても問題はない、間違えて覚える、といった前向きな発想を身につける。

 ▽全員NZに

 3年生になると、全員がニュージーランドに留学する。オタゴポリテクニクで、現地の社会・環境をテーマにした勉強のほか、地元の企業でインターンシップもできる。留学時に、機械工学、電気電子、情報フロンティア、応用化学の4つから希望のコースを選択し、専門性も高めていく。

 実際の英語を学び、将来ビジネスの現場に立ったとき、臆せずに自分の意見を言えるような人材を育成する狙いだ。バークスデール校長はもともと理工系ではなく、英語教育を専門とする。バークスデール校長を抜擢したところにも、国際化への思いの強さがうかがえる。

 バークスデール校長は「英語をたくさん使うことが大事。教室で学生がどんどん手を挙げるような、アクティブ・ラーニングを実践したい」と力を込めた。

 ▽大学へ編入

 4、5年生は同じ学校法人が運営する金沢工業大学(同県野々市市)で、大学と連携した授業を実施。この段階で、授業はほぼ英語となる。

 さらに、高専卒業後に金沢工業大学の3年次に編入、その先も金沢工業大学大学院に進む道もある。

 高専の5年間、大学・大学院の4年間を、一貫教育ととらえ、「5+4プロジェクト」と銘打っている。

 「工業高等専門学校」の流れを汲むだけあって、国際高専でも理科系の専門技術、高度な専門知識を身につけるための授業は豊富だ。例えば、電気電子コースなら、電気回路、電子工学、電気磁気学、プログラミング、電気電子計測工学などを勉強。グローバルなイノベーターを育成する。

5+4の一貫教育プログラム

 底辺に流れるのは、CDIO(Conceive-Design-Implement-Operate)という考え方。CDIOは米国のマサチューセッツ工科大学とスウェーデンの3大学が始めた工学教育改革の取り組みで、考え出す(Conceive)、デザインする(Design)、実現する(Implement)、操作・運営する(Operate)というキーワードで成り立っている。

 例えば、チームで病院の待合室を作る場合、医師や薬剤師、看護師、患者にくまなくインタビューし、どのような待合室が使いやすいかを徹底的に聞く。多様な意見からデザインし、その後も使い勝手の良さをフィードバックして、改善を目指す。

 ▽リーダーになる人材を

 バークスデール校長は「社会が求める人材は日々変わる。高専には以前は技術系の現場で働く即戦力が求められたが、今はイノベーションを起こせる、しかもリーダーになる人材が求められている。中学卒業後に、すぐに専門的な勉強ができるという高専の良さを生かしつつ、高専も変わるべきだと決断した」と話す。

 ▽共感力に強み

 ここで強みを発揮するのが、白山キャンパスでの全寮制の生活だ。

 高度な知識だけではなく、他者が何を考えているかと言う感性を身につける人材が年々求められている。

 産業界では、最近、ユーザーの感性に合わせて技術をつくっていく仕事が多くなっている。ここには「共感力」が求められるが、全寮制生活での助け合いの生活が若者たちの将来の糧になりそうだ。

白山の麓 白山キャンパスの開設予定地を
指差す バークスデール校長

 ▽地域課題に挑戦

 JR金沢駅から車で1時間ほどのキャンパスでは、ウグイスやツツドリがさえずり、日本海に注ぐ手取川の支流のせせらぎに耳を傾けるー。地域にある四季を満喫する一方で、白山での生活は、高齢化や人口減といった日本が抱える課題とも直面することになる。こうした生の地域の課題を、身をもって経験し、地域活性化のプロジェクトチームリーダを育てる考えだ。

 地域の住民宅に泊まりこんで、農作業を手伝えば地域と密接なつながりを持つことができるだろう。

 里山を守る取り組みでは、すでに金沢高専の学生が取り組んできた小水力発電の発案のほか、バイオマス発電、植物工場なども考えられる。地元で消えつつあるお祭りを盛り上げ、地元の人形浄瑠璃をどのように伝えていくかもテーマになりそう。白山のふもとでつちかった発想力を生かすチャンスは無限にある。

 バークスデール校長は「自らテーマを見つけて、学習し解決する学生を育てたい」と力強い。

 ▽地元も期待

 若者の定着促進を目指す地元の白山市も「白山市に住みまっし(住もうよ)」と、温かく迎える。

 山田憲昭白山市長は「若い人たちの知恵と行動力が、地域の活性化につながるのでは」と期待をかける。

 ▽新しいキャンパス

 現在建設中の白山のキャンパスは、白山のふもと標高300メートルほどにある。緑豊かなキャンパスは6万7000平方メートルもある。キャンパスの中央にブーメラン型のユニークな校舎棟を配置。建物のメーンストリートは、長さ400メートルほどもあり、中庭に接した開放感があるつくりだ。夕食後に、海外からの留学生と交流したり、宿題をしたり、楽しいキャンパスライフになりそうだ。制服もなく、服装も自由だ。校舎棟を囲むように、体育館、寮なども配置される。キャンパス内には、金沢工業大学と共有の地域創生ラボも設置する予定になっている。

 カフェテリアは、インターナショナルスクールの食事などを手がける会社と契約し、和食だけではなく、多様な食文化に対応できるようにする。

キャンパスの中央 ブーメラン型のユニークな校舎棟が特徴的な白山キャンパス(完成予想図)
スティーブン・ザボ教諭は英語での
プログラミングの授業を担当する予定

 米国出身で、プログラミング授業を担当するスティーブン・ザボ教諭は「さまざまな文化を持つ学生たちが、多様性を理解しつつ、学んで、世界に羽ばたいてほしい」と学生の夢をサポートする考えだ。地域社会や企業の国際化に貢献できる人材を育てる意欲がうかがえた。

 8月から11月にかけては、オープンキャンパスを予定している。

 気になる入学試験は、金沢、東京のほか、海外からの人材を集めるため、シンガポールの会場も設ける予定だ。一般入試は来年1、2月に金沢と東京で実施の見通しだ。少子化で学校間の競争が激化する中、来年4月の開設に向け、ユニークな高専の受け入れ準備は着々と進んでいる。

金沢工業高等専門学校サイトへ