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  • 『おとなのかがく』 繊細な職人技に見入ってしまう 


     (C)2013 Studio Q-Li

     平賀源内のエレキテルとか、電子ブロックとか、毎度遊び心をくすぐる付録が魅力的な学研の人気雑誌『大人の科学マガジン』。中でも好評だった、オランダの彫刻家テオ・ヤンセンが発表した風力で動く巨大オブジェ「アニマリス・リノセロス・トランスポルト」のミニチュア版が付録になった過程を追ったドキュメンタリーだ。

     ヤンセンがメカの黄金比率を公表していることから、ならば挑んでやろうと始まった本プロジェクト。中心となるのは、学研トイ事業の元社員で、現在は自身の工房を立ち上げて試作品作りに挑んでいる永岡昌光。永岡の、ミリ単位の作業を行う繊細な職人技に思わず見入ってしまう。学研の「科学と学習」で育ってきた世代にとっては、同社が培ってきた技術に感服するだろう。

     しかし同時に本作は、永岡のような技術者が同社を離れ、かつ付録の量産先は中国の工場に託しているという現代のモノ作りの仕組みが見えてくる。ただそこには、雑誌公正競争規約にのっとって、決められた予算との闘いもあると思うのだが、そこに踏み込んでなかったのがちょっと残念。

     そもそも本作は、忠地裕子監督の映画美学校の卒業制作から生まれた映画で上映時間50分。視点は面白いので、さらに学研の付録の歴史までさかのぼって、90分ぐらいの作品にするのはどうだろう?なんて考えてしまった。★★★☆☆(中山治美)

     【データ】

    監督:忠地裕子

    撮影・録音:藤井遼介、忠地裕子、源川京子

    出演:永岡昌光、西村俊之、テオ・ヤンセン

    5月3日(土)から東京・渋谷のユーロスペースで公開

      【共同通信】