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  • 進化する西岡利晃 10月24日に防衛戦


     5度目の防衛戦に臨む西岡利晃

     思わぬ回り道、しかし思った以上の大輪の花が咲いた。

     WBCスーパーバンタム級チャンピオン西岡利晃(帝拳)は1994年12月にデビュー、そのスピーディーな動き、ひらめきにあふれた攻防、ワンパンチで試合を終わらせることのできる強打は、地元兵庫を中心にファンの話題を呼び「ポスト辰吉」の筆頭に挙げられるようになった。

     2000年6月、西岡は辰吉丈一郎を破ったウィラポン(タイ)のWBC世界バンタム級王座に挑戦する。ウィラポンの鉄壁の強さは、すでに辰吉戦で証明済みだったが、「辰吉をもしのぐ素質」とさえ言われた西岡の天才が爆発すれば、番狂わせも大いに期待されたものだ。だが、さすがはウィラポン、西岡の前にほとんどスキを見せることなく、若い挑戦者を判定で一蹴した。

     翌年にめぐってきた再挑戦のチャンスでは、西岡は長足の進歩を見せた。前半からウィラポンのボディーを攻め立て、ガードが下がったところに顔面への強打を打ち込み、ダウン寸前に追い込む。だが、したたかなウィラポンは、後半に西岡が疲れたところを攻め込み、なんとかドローで王座を防衛した。

     「次こそ」の期待が高まったが、あろうことか、西岡は練習中に左足アキレス腱を断裂する重傷を負ってしまう。年半のブランクの後、ようやく3度目のウィラポン戦が実現したが、西岡には何かが欠けてしまっていた。西岡の強さを意識したウィラポンは慎重策で試合をほぼ支配したまま12回終了。ところが、判定はまたも「ドロー」であった。会場の西岡ファンからさえ「えー」という声が上がる偏向判定だった。

     そんな試合だったから、「ドローとはいえ、すぐに4度目の挑戦は無謀」の声も聞こえてきた。しかし、帝拳ジムは批判するマスコミを取材拒否してまでも「4度目」を強行する。04年3月に行われた第4戦での西岡は自信を失っているようにも見え、いいところなく大差判定で敗れた。「帝拳の強引なマッチメークが、あたら西岡の才能をつぶしてしまった」、そう思ったのは私だけではあるまい。

     しかし、ウィラポン第4戦を責めるのであれば、その後の西岡のカムバックロードをつくった帝拳ジムの見事なマネージメントを称えることも忘れてはなるまい。フィリピンやメキシコのさまざまなタイプの強豪とうまくマッチメークして再び上昇気流に乗せるとともに、米国西海岸のマルコ・アントニオ・バレラのトーレニング・キャンプにも参加させ、世界トップボクサーのジムワークを肌で感じさせた。

     徐々に調子と自信を取り戻し、その技量にも深みを加えた西岡は、08年9月にナパーポン(タイ)との王座決定戦に勝ってついにWBCスーパーバンタム級暫定王者となり、以後現在まで同王座を4度連続防衛中だ。防衛戦はすべてKO・TKO勝ちで、メキシコの強豪ジョニー・ゴンサレスを敵地で粉砕した試合も含まれる。すでに34歳の西岡だが、まったく衰えの兆候は見られず、むしろますます進化してるようだ。まさに今こそ「西岡時代」が到来しているのだ。10月24日の防衛戦が楽しみだ。(ボクシングライター・粂川麻里生)

      【共同通信】