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  • 『ストレンジ・フェイス』青山真治著 沖縄を舞台に重層化した物語 


     反主流文学のお手本的作品。

     若者に支持される映画監督。しかし実際、作品を見てみるとスタイリッシュで斬新というよりも、普遍的な映画の文法のようなものを感じる。理論的に撮られている印象があり、キャッチーであれば何でもありな作品がまかり通る現在、逆に新鮮に映るのかもしれない。

     本作もそんな印象を抱く作品だ。小説家としては三島賞を受賞している実力派。大江健三郎や中上健次の作風を匂わせ、精度の高い文学空間を作り上げている。その筋では優等生だろう。ひいき目かもしれないが、このような作家は重要だ。

     舞台は沖縄の離島。完成間近の高層ビルをめぐって住民の間に亀裂が走る。暴徒と化した勢力はやがて惨事を招く。一方、島の運命を担わされた女に情愛の日々が訪れる。混乱は悲劇を生み、女は島を旅立つ…。

     蹂躙されてきた歴史を持つ島、複雑な地縁そして血縁、逃れられない運命を刻印する土地の民話…、物語は幾重にも重層化されている。未消化なところがあるだろう。続きがきっとあるはずだ。自立した小説として引力にかけるかもしれないが、作家の次に期待を抱かせる作品。

     (朝日新聞出版 2000円+税)=一色こうき

      【共同通信】