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     青山を支えるチーフメカニックのヨイェッチ(左)

     今季からモトGPへ昇格した青山博一が所属するチーム、インターヴェッテン・ホンダ・モトGPは、昨年末に出来上がったばかりの新興組織だ。チーム内では青山同様に最高峰デビューのスタッフも少なくないが、そんな彼らをとりまとめて陣頭指揮を執るチーフメカニックという要職に就いているのが、トム・ヨイェッチ。両親はユーゴスラビア人、本人はカナダで生まれ現在は英国在住という、パドック内でも一風変わったプロフィールの持ち主だ。

     ヨイェッチがグランプリの世界に関わり始めたのは1999年。ケニー・ロバーツ・シニアが率いるチームロバーツのエンジニアからスタートし、やがてチーフクルーとしてチームの技術面を取り仕切るようになる。チームのモトGP撤退に伴い、2008年はカワサキのテストチームに移籍。09年には、オーストリア企業KTMのスーパーバイクプロジェクトに参画した。ドイツ選手権に参戦し、初挑戦のチームで年間総合2位を獲得。今年から古巣のモトGPに復帰した。

     青山に対しては、豊かな才能の持ち主という大まかな印象を持っていたが、一緒に仕事をするようになると「努力を怠らず一歩一歩確実に前進していこうとするヒロの姿勢に、ますます好感を抱くようになりました」と言う。

     また、今年のホンダは、サテライトチームに対してもワークスチームと同じ仕様のマシンを支給しているが、ヨイェッチはその性能と今後の進化にも自信を抱いている。

     「戦闘力は、極めて高いと思っています。ホンダはこのバイク開発に全力を傾注してくれているし、われわれも彼らを信頼しています。選手からの的確なフィードバックがあれば、開発側はマシンをどんどん改良していくことができます。われわれにできることは、そのための豊富な情報を彼らに提供し続けることなのです。ホンダのスタッフと共にいいソリューションを見つけることができる、と私は信じています」

     青山とヨイェッチがコンビを組み始めて以来、ここまでに行われたプレシーズンテストは4回。そのたびに少しずつ成果を積み上げ、2月下旬のテストでは全体で9番目のラップタイムを記録した。今季の目標を尋ねると、ヨイェッチはランキング5位、と即答した。

     「可能だと思いますよ。今回のテストでは、ヒロは250CCクラス出身のどのルーキーよりもいいタイムを刻むことができました。今のターゲットは、トップの4強選手に次ぐ位置を狙うこと。それができれば、きっと次の目標も見えてくるでしょう」(モータージャーナリスト・西村章)

      【共同通信】