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  • 日米密約に関する参考人質疑詳報 

     衆院外務委員会の日米密約に関する参考人質疑詳報は次の通り。

     【核の持ち込み】

     東郷和彦・元外務省条約局長 外務省条約局長を務めた小和田恒、丹波実両氏はいずれも就任前に(米核搭載艦船の一時寄港による)「核の持ち込み」に関する意見書を書いて外務省に提出していた。

     意見書は日本国内への持ち込みを暴露した1974年9月のラロック米退役海軍少将発言と、81年5月のライシャワー元駐日米大使発言を踏まえており、大筋は「非核二・五原則の方向で意見を集約し、国民にきちんと説明すべきだ」という内容だった。

     米国が艦船に核を搭載していた91年より前は核持ち込みはあり得る話だと思っていた。

     斉藤邦彦・元外務事務次官 当時から「何が核の持ち込みに当たるか、日米に了解の差が存在する」と思っていた。この背景には、日本国内の反核感情と米国の核抑止力への依存があった。(密約が生じたのは)日米両政府の高度な政治判断があったためだろう。

     小和田、丹波両氏の意見書は「国民にうそをつかないため非核二・五原則の方向性で国民に説明すべきだ」という話が中心だった。正確な内容は記憶していない。

     【朝鮮半島有事】

     斉藤氏 朝鮮半島有事の米軍出撃をめぐる合意文書を非公表にしたのは(歴代政権が)「北朝鮮、中国を無用に刺激することを避けたい」と判断したからではないか。

     【核再持ち込み】

     斉藤氏 沖縄への核再持ち込み合意について「密約とはいえない」とした外務省有識者委員会の結論に同意する。

     東郷氏 私は密約だと考える。当時の佐藤栄作首相はニクソン米大統領に「要請があれば必ず核を入れる」と言った。常識的には約束であり、それが国民に伏せられていた。合意が日本でいかに引き継がれたかは国内問題だ。

     西山太吉・元毎日新聞記者 有識者委員会が沖縄への核再持ち込み秘密合意について「引き継ぎがないから密約でない」としたのは、まったく間違っている。

     【沖縄肩代わり】

     森田一・元自民党衆院議員 沖縄軍用地の原状回復補償費400万ドルの財政支出には、大蔵省主計局法規課の課長補佐として関与した。外務省が「(沖縄返還協定に基づき)米国に支払う3億2千万ドルの中から支払いたいので了解してほしい」としたのに対し、異議を差し挟まなかった。

     西山氏 沖縄返還原状回復費肩代わり密約は在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)へと続く新たな安全保障の枠組みを作り出した。最大の密約だ。

     【密約引き継ぎ】

     東郷氏 条約局長当時、前任の局長から引き継いだ1束の資料と局長室内の資料を整理し、五つの赤色の箱型ファイルに年代順に収めた。密約が将来問題化した時、その本質と検討の経過を把握できるようにするためだった。

     ファイルは、全資料58点のリストと意見書とともに、後任の谷内正太郎条約局長に99年に引き継いだ。その際に「非核二・五原則を検討すべきだ」と記した意見書も添付した。

     リストと意見書は藤崎一郎北米局長(当時、現駐米大使)にも送付した。意見書には「安全保障の将来を考えるなら非核二・五原則の方向で、外務省内で再検討すべきだ」と記した。

     鈴木宗男委員長 東郷氏作成のリストと意見書を開示するよう外務省に手続きを取りたい。

     森田氏 故大平正芳元首相は当時「事務的な引き継ぎにはなかなか向かない」と考えていた。口頭や文書による引き継ぎはなかったと思っている。

     斉藤氏 宮沢喜一、細川護熙、羽田孜、村山富市各首相(いずれも当時)に仕えたが、4人に密約問題の話をしたことはない。私は引き継ぎ書を見たことがなく、内容を把握していなかった。事務方の決裁はなかった。核持ち込みなどの密約について引き継ぎを受けていないし、どの首相にもブリーフしたことはない。

     【重要文書破棄】

     東郷氏 (密約をめぐり)最重要とした引き継ぎ文書16点のうち、60年1月20日の在日米大使館員と高橋通敏条約局長の会談記録など8文書は外務省の公表文書の中に含まれていなかった。

     小和田、丹波両氏の意見書は、今回の調査で(未発見のため)発表されていない。非常に残念だ。後任の谷内氏に引き継いだ。「引き継げば文書の重みを十分に判断してきちんと判断してくれる」と思っていたので、文書管理番号はとっていない。

     74年の田中内閣総辞職前に、二・五原則化を検討した際の条約局長だった松永信雄氏の日誌も見つかっていない。

     外務省の内情を知っている人から2001年の情報公開法施行前に関連文書が破棄されたと聞いた。本当にどうなったのかは分からないので、衆院外務委で調査してほしい。文書の破棄が本当なら、外務省は文書管理の実態把握と今後の対応について、きちんと向かい合ってほしい。

     西山氏 文書管理をめぐる日米の差は大き過ぎる。それを埋めるのは国会の国政調査権だ。官僚には解決できない。

     【三原則見直し】

     東郷氏 米国は91年以降、艦船に核を搭載しない政策をとっているため、日本が非核三原則を堅持しても、安全保障は現時点では損なわれない。しかし米国が政策を変更し「(否定も肯定もしない)NCND」に戻る可能性もある。非核二・五原則に立つのが最善と考える。

     森田氏 故大平氏に言われて付けた日記には、田中内閣で外相に就任する際の状況について「外相を兼任することとした。(非核三原則を二・五原則化する)核問題に決着をつけるためだ」、「田中(角栄)首相はこの問題を処理して退陣する決意を固めているようだ」などと書かれてあった。

     【有識者報告書】

     東郷氏 日米には冷戦時代、お互いが(核持ち込みをめぐる矛盾について)「深追いしない」という共通の立場があった。そこに日本政府と国民との大きな乖離(かいり)が生じてしまった。今回の密約調査で、ようやくその乖離が埋められたと思う。

     斉藤氏 有識者委員会の報告書が外交文書公開の審査の遅れと不十分さを批判したのは的を射ている。判断が難しい時、公開しないことが多かった。四つが密約かどうかは別にして、これ以外に密約やそれらしいものはない。

     東郷氏 私もないと思っている。

      【共同通信】