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  • 「1票の格差」訴訟の判決要旨 

     「1票の格差」をめぐる訴訟で、東京高裁が11日言い渡した判決の要旨は次の通り。

     憲法は投票価値の平等を最重要の理念として要求しているが、これは選挙制度の仕組みを決定する唯一の基準ではない。ほかの政策的目的や理由との関連で調和的に実現されるべきものであり、投票価値が完全に平等ではないとしても国会の裁量権の行使として合理性を是認できる範囲内では憲法の規定に反しない。

     国会が衆院選で全国を多数の選挙区に分ける制度を採用する場合、議員1人当たりの選挙人数または人口ができる限り平等に保たれることを最も重要で基本的な基準とするべきだ。

     しかし国民は全国一律の平準化された存在ではなく、国の施策も全国一律の平板ではなく、国政に対する利害関係には、都道府県などの行政区画をまとまりとして濃淡が生じ、地勢や交通事情などにも影響を受ける。

     とりわけ都道府県は歴史的、社会的にも独自の意義と実体を持ち、区割りの際、無視できない基礎的要素の一つだ。

     区割りや議員定数配分の具体的決定では、複雑で高度な政策的要素や、人口など国勢調査結果に応じた改定などに要する技術的・時間的な要素がある。

     衆院議員選挙区画定審議会設置法の「1人別枠方式」は、過疎地への配慮から、人口の少ない県に定数を多く配分することは、投票価値の平等のほかにも考慮する政策的要素として一定の合理性はあるが、不平等状態をもたらした原因と認められる点を考えると、その合理性について何らの問題もないとはいえない。

     2005年実施の国勢調査によると、本件の区割りでの最大格差は1対2・203、格差2倍以上の選挙区は48だった。2000年の国勢調査での最大格差が1対2・064で、格差2倍以上の選挙区が9だった状況より悪化しており、憲法上は好ましくない。

     だが、設置法の規定は、行政区画などを総合考慮して合理的に区割りし、選挙区間の最大格差ができるだけ2倍未満に収まるように区割りをすべきことを定めたものだ。

     上記の人口格差は、最大で2倍を約10%超過しているものの、格差が2倍以上の選挙区数は全選挙区の6分の1にとどまっている。現行の区割りは、強固な合理性があるとまではいえない1人別枠方式を主因とする投票価値の不平等をもたらしているが、選挙制度全体では投票価値の著しい不平等状態になっているとまでは認められず、合理性を残している。

     選挙区画定審議会は、「特別の事情」があるときには国勢調査の結果を待たずに改定を勧告できるとしているが、人口変動の予測可能性に関する合理的根拠の有無を含めて「特別の事情」のある十分な証拠は見当たらない。

     従って、審議会の勧告見送りの結果として国会による区割り規定の改正作業の未着手という事態のまま現在に至ったことについて、国会の裁量権の行使として合理性を欠いていたともいえない。以上、現行の区割り規定は憲法に違反するものとはいえない。

     原告は、選挙権の価値の平等は区割りを機械的・事務的に定めるだけで実現でき、単なる行政区画にすぎない都道府県の境を越えてでも人口に基づいて区割りすることを、憲法が要求していると主張している。

     しかし、区割りの際、できるだけ行政区画の分割を回避することは地方公共団体の一体化の維持や、恣意(しい)的な区割り防止という観点からも合理性を持つ。原告の主張は採用できない。

      【共同通信】