皇太子さま会見全文(1)アフリカのガーナ、ケニア公式訪問を控えた3日の皇太子さま記者会見の全文は次の通り。 ―今回のガーナ、ケニア訪問は、皇太子さまにとってサハラ砂漠以南のアフリカへの初めての訪問となります。水関連施設や黄熱病の研究中に亡くなった野口英世博士ゆかりの施設の視察なども予定していると伺っています。昨年、天皇陛下が中国国家副主席と特例的に会見されたことをきっかけに、皇室の国際親善の在り方が注目されました。あらためてその意義と今後の方向性について、訪問に当たっての抱負とともにお聞かせください。 皇太子さま ガーナ国、ケニア国両国政府からご招待をいただき、このたび、両国を訪問する機会が与えられたことを大変うれしく思っております。ご招待いただいた両国政府に対して、心から感謝いたします。アフリカ大陸を訪れるのは平成3(1991)年のモロッコ国訪問以来、約20年ぶりになりますが、ご質問にあった通り、サハラ砂漠以南のいわゆるサブサハラのアフリカについては今回が初めての訪問となります。 アフリカについては、ちょうど私が生まれた昭和35(1960)年に両親である天皇、皇后両陛下がエチオピアを訪問されており、両陛下からエチオピアやほかのアフリカの国々の話を幼少時に伺ったことを記憶しています。また、昭和39(1964)年の東京オリンピックのマラソンでエチオピアのアベベ・ビキラ選手がマラソンで優勝し、そしてまた4年後のメキシコオリンピックでは、同じくエチオピアのマモ・ウォルデ選手がマラソンで優勝するなど小さいころの私のアフリカのイメージはマラソンが強いということでした。その後、昭和45(1970)年に大阪で開催された万国博覧会で、私はタンザニアやガーナ、ナイジェリアなどアフリカのパビリオンをいくつか見て回りましたが、これは私にとってのアフリカとの出会いであったかもしれません。また、昭和56(1981)年に国賓として日本を訪問されたタンザニアの初代大統領であるニエレレ大統領、翌年に同じく国賓として来日されたケニアのモイ大統領、平成5(1993)年に訪日されたガーナのローリングス大統領をはじめアフリカ各国で指導的な立場にある方々にお会いしたり、アフリカに詳しい方々のお話を伺ったり、また、小さいころから野生動物やアフリカに関する映像を見たりして、私なりにアフリカに対するイメージはありますが、「百聞は一見にしかず」の言葉にあるように今回、ガーナ、ケニア両国を自分自身の目でしっかりと見て、そしてそこに暮らす方々にお会いし、意義のある訪問にできればと思っております。 ところで私も先日、50歳の誕生日を迎えましたが、アフリカの国の中には私が生まれた1960年に独立した国も多くあります。マダガスカル、ソマリア、コンゴ民主共和国、旧ザイールですね、それとかナイジェリア、セネガルなどがそうです。今回、訪問するガーナは1957年、ケニアは1963年と時期は微妙に異なりますが、1960年前後に独立を実現し、その後、約半世紀、国として歩みを重ねてきているという点では共通しています。このように誕生の年を同じくしたり、また、その前後に誕生した国が多くあるという点でも、私は以前からアフリカの諸国に親しみを持ってきました。 この50年ほどの間で、アフリカ各国の中には豊富な地下資源等により経済成長を遂げてきた国もありますが、依然として貧困問題や感染症、さらには紛争などの困難な問題を抱えている国も多いと承知しています。 日本とアフリカ大陸との関係は平成5年、1993年の第1回会合以来、過去4回開催されたアフリカ開発会議、TICADもあり、ここ20年ほどの間に深まっております。今回は2カ国のみの訪問ですが、両国政府の協力の下、首都のみならずそれぞれ地方も訪れる機会も設けられており、今回の訪問を通じ、ガーナ、ケニア両国の社会、歴史、文化などへの理解を深めるとともに、アフリカ大陸の抱えるさまざまな課題をよりよく知りたいと思います。そして、今回の訪問が日本とガーナ、ケニア両国はもとより、日本とアフリカ全体の友好関係の増進に少しでもお役に立つようであれば幸いです。 日本と両国、ひいてはアフリカ全体との関係を振り返る時、これまで多くの方々がそれぞれの立場でかかわってこられ、発展してきたとうかがっており、今回の私の訪問もそうした積み重ねの一つとなればと思っています。 今回、私はガーナにおいて、今から80年以上前に野口英世博士が実際に研究された研究室を訪れ、博士がアフリカ、ひいては世界の医療活動に果たそうとした思いをしのびたいと思います。その野口英世博士の功績をたたえ、平成20(2008)年に両陛下のご臨席の下で第1回授賞式が行われた野口英世アフリカ賞を記念したシンポジウムがガーナにおいて開催されますので、私はそれに出席し、両国をはじめとするアフリカの医療問題に取り組む方々のお話を伺い、それぞれの活動を応援していきたいというふうに思います。 私自身、小学生の時でしたが、野口博士の業績について書かれたものを読み、そして、6年生の時に福島県の猪苗代湖の湖畔に立つ野口博士ゆかりの野口記念館を訪れたことを懐かしく思い出します。 また、ガーナ、ケニア両国においては、青年海外協力隊をはじめとする国際協力に携わっておられる方々、経済活動等を通じ両国関係に深くかかわっておられる現地に住む日本人の方々、さらには日本への元留学生など日本と深いかかわりをもってこられたガーナ、ケニアの方々とお会いすることが予定されています。特に青年海外協力隊については、これまで現地赴任前の隊員の皆さんに都合の付く限り直接、お会いしてきましたが、今回、その各隊員の活動の様子について現地で直接伺うことを楽しみにしております。私はガーナ、ケニア両国で活躍する日本人、日本のことに関心を持ち、かかわりを持つガーナ、ケニアの方々がそれぞれの活動を通じ、はぐくんでこられたきずなこそが両国関係を強固なものとしていく礎だと思います。私の訪問が、そうした方々が今後、それぞれの活動を行っていく上での励みとなればうれしく思います。 【共同通信】
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