子育てさがし シングルマザーの大野えりかさん![]() 大野えりかさん=東京都中央区 ◎頼れる環境支えに 感謝し長女と成長 化粧品やビューティー企画を中心にフリーライターとして活動する大野えりかさん(23)は4歳の長女がいるシングルマザー。家族、友だち、仕事先などからさまざまな協力を受け、恵まれていると実感しながら、奮闘する毎日だ。 ▽臨月まで仕事 高校卒業後、アルバイト先の東京都内のアパレルショップに勤務。まもなく妊娠が分かったが、当時交際していた男性や親からは産むことに反対された。大野さんの親は「人のことは気にせずに、幸せになれる道を選びなさい」と意志を尊重してくれ、男性と別れシングルマザーとして育てることになった。 「妊娠したら産むのが当然という家庭で育ったので、私自身、中絶は考えませんでした。家族や仲のいい友だちは私の選択を喜んで、祝ってくれました。生活面での不安は多少ありましたが、それよりもどうやって育てていくかばかりを考えていました。もちろん反対意見も周りにはありましたが、覚悟の上だったので気にはならなかったです」 今後の生活に役立てばと、出産までにカラーコーディネーターの資格などを取り、臨月まで働いた。産んでからは2カ月ほどで職場に復帰した。 「出産後は社会から取り残されたような孤独を感じたり、育児ばかりに追われて煮詰まる感じがあって嫌でした。それでもまだ小さな娘を保育園に預けるのは何となく抵抗があったので、1歳までは両親に見てもらって働きました」 美容やファッションのウェブディレクターの経験を経て、雑誌の編集プロダクションに転職したが、保育園の迎えのためにいったん会社を離れ、親が帰って来てから、終電で会社に戻り再び仕事をすることも多かった。長女との時間も満足に取れず、会社の経営が傾いて給料が滞ったことも。そんな中、副業としていたライターの仕事が忙しくなったのをきっかけに、2009年春からフリーライターとして活動することを選んだ。 「子どもがいることについて会社の理解はありましたが、みんなが遅くまで仕事をしている中で、保育園の迎えに間に合うよう定時に走って帰ることに、気まずさを感じることはありました。それならば自分で時間をうまく組み立てながら、仕事も子育ても楽しもうと考えました」 フリーになってから、化粧品の広告製作やファッション誌でのヘアメークページの執筆、デートスポットを紹介するホームページ「デート通.jp」の編集など、1カ月の収入は40-50万円。しかし少ない時は10万円台のこともあるため、2、3カ月先の仕事のことも考えながらやりくりしている。両親に家賃を渡して千葉県内で同居し、食費は自分の収入でまかなう。 「フリーになって時間の管理がしやすくなり、長女との一緒の時間が増えました。自宅住まいだと、長女との2人暮らしの方が余計な家事がなくて楽じゃないかと思うこともありますが、家に帰れば2人きりではなく、温かな家庭がある。この空気の中で生活させてあげることが今はとても大切だと感じています」 ▽一人じゃない 家族や地元の友だち、仕事先とあらゆる場面で頼れる環境をつくって工夫している。シングルマザーであることに不便を感じたことはない。 「シングルマザーでかわいそう、大変と思われるのが嫌だから、仕事も育児も楽しい、幸せと思えることをしています。周りから見たら自由奔放な母親に思われるかもしませんが、それでいいと思っています」 「保育園があるから仕事ができるし、同居している両親がいるから娘に家庭の雰囲気を感じさせてあげられる。友だちには車を出してもらって、ディズニーランドに行ったりと、車の免許を持っていないわたしではできないことをしてもらえる。公園にいる家族を見ていいなぁと思えば友だちと一緒に娘と公園に遊びに行ったり。いろいろな協力をしてもらいながら、なんとかなるものです」 現在、平日は長女を保育園に預けているが、月に2、3回は時や場所に合わせて仕事の打ち合わせや撮影の時に連れて行く。 「撮影の仕事はどれくらい時間がかかるか分からなく、保育園の迎えに間に合わないかもと気にしながら仕事をするのは嫌なので連れて行っています。長女は恥ずかしがったりもしますが、遊んでもらったり、いい刺激になっているみたいです」 「一緒に住む家族はもちろん、友だちや仕事の方々と接する機会が多く、長女はたくさんの人からかわいがってもらえる。こんなに恵まれた環境にいるので一人を意味する『シングル』という言葉がいまだにしっくりきません。一人ではないですもの」 ▽80センチの目線 午後7時の保育園の迎えから長女が寝るまでは、どんなに仕事が忙しくても、子どもとの時間を大切にしている。 「子どもは敏感だから、自分に心が向いていないと分かります。仕事が忙しい時は、早く寝てほしいなと思うこともありますけど、寝てから集中してやっています。 仕事に同行させることが多いため、あいさつや「ありがとう」「ごめんなさい」、食事の食べ方には気をつかっている。 「娘が自分でできることは全部自分でやるように促しています。放任ではなく、やっている様子を見守り、できたらほめる。できないことをできるようにするための手助けがわたしの役割です。急いでいる時はつい手助けしたくなりますが、我慢です」 撮影に連れて行くことが多いせいか、カメラが大好きで、4歳の誕生日にはデジタルカメラをプレゼントした。 「身長約80センチの目線で撮影する景色や物はいつも新鮮ですね。興味や好奇心を尊重して、損なわないようにしたい。娘が興味を持った物にはとことん付き合います」 長女は大野さんの仕事を「ママはかきかきしてるんだよね」と話す。 「父親がいたらとどんな生活なのかなと想像することはありますが、今の仕事はできていなかった。わたしにとって仕事は自己の確立と成長する場。一生現役で働きたいので、今の環境は自分にとってベストだと感じています。娘が大きくなった時に『仕事をしているママはかっこいい』って思ってもらえたらうれしいですね」。自分がやりたいと思ったことを行動して実現できるよう、長女と一緒に成長する。(共同通信デジタル編集部、10年3月2日配信) × × 大野(おおの)えりかさん 1986年、東京都生まれ。高校卒業後、アパレル会社に勤務。まもなく妊娠が分かり、2006年に長女を出産。09年からは、フリーライターとして活動している。 ▽大野さんの1日 06:30 起床。メーク、朝食の準備 07:30 長女を起こして朝食。保育園の準備 08:30 保育園に登園、仕事へ 19:00 保育園へ長女の迎え 19:30 夕飯、長女と遊ぶ 22:00 長女が就寝 23:00 仕事、勉強など 04:00 就寝 【共同通信】
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