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  • 強盗殺人の鳥取地裁法廷詳報 裁判員裁判

     鳥取地裁で23日に開かれた強盗殺人事件の裁判員裁判の法廷詳報は次の通り。(裁判員は法壇に向かって左から順に1~6番と表記)

     【入廷・罪状認否】

     午前10時、紺のスーツにネクタイ姿の影山博司被告(55)が刑務官に伴われて法廷に現れ、弁護人の隣に座った。緊張しているのか、少し手が震えている。裁判官3人、裁判員6人(男性4人、女性2人)、補充裁判員4人(男女2人ずつ)が順に入ってきた。

     さらに被害者参加制度に基づき、大森政子さん=当時(74)=の息子が検察官の横に着席。大森さんは同居していた石谷英夫さん=当時(82)=とともに殺害された。被告は石谷さんが経営する会計事務所の経理担当者だった。

     裁判長が開廷を告げ、検察官が起訴状を読み上げると、裁判員4番の男性はみけんにしわを寄せて、手元の資料に目を落とした。

     起訴状の内容について問われ、被告は「亡くなられた方、ご遺族には取り返しの付かないことをしました。裁判に最後まで真摯な態度で臨み、結論をしっかり受け止めたい」と謝罪した上で「強盗目的というのが事実と違います」と述べた。6番の女性が被告の顔をじっと見つめていた。

     【冒頭陳述】

     検察官が冒頭陳述を始める。「被告は事務所の資金繰りのため多額の借金を繰り返し返済に苦しんだ揚げ句、石谷さんへの長年の恨みを晴らすことと、借金返済や事務所の支払いの資金を得るために石谷さんの預金を奪うことを目的に、犯行を実行した」。廷内の大型モニターには、被告の借金の増減を示す折れ線グラフが映し出された。

     負債は事件が起きた昨年2月当時、約850万円。被告が6月3日の逮捕に当たり、2人の殺害を自白し、遺体を隠していた場所を明かしたことも検察官は説明した。

     続いて弁護人が冒頭陳述。法廷中央の証言台に進み、一礼して「もう嫌だ。もう我慢できない。これが影山さんが2人をあやめたときの気持ちです」。うつむいていた裁判員3番の男性を含め、複数の裁判員が弁護人の顔に注目する。

     弁護人は(1)石谷さんの年収は3千万円なのに対し、被告の月給は20万円で、支払えない月も多くあったこと(2)石谷さん宅の雪かきや買い物、石谷さんの女性関係の後始末や不正な税務申告などもやらされていたこと(3)辞表を出しても取り合ってもらえなかったこと―などを順に指摘。「関係を解消し、逃れたい一心。金品目的ではない」と主張した。

     裁判員4番の男性は目をやや見開き、驚いた表情。休憩となり、3番の男性は肩をほぐし、1番の男性は法廷に一礼して出て行った。

     【証拠調べ】

     検察官が「写真2枚を手元のモニターに映します」と述べると、遺体が見つかったビルの見取り図が映っていた大型モニターが消された。検察官によると、被害者2人はブルーシートに包まれた上、ひもで縛られ、石谷さんの首には電気コードが三重に巻かれていた。写真はブルーシートに包まれた遺体のようだ。

     「腐敗状況について添付写真はありません。言葉で説明します」と検察官。説明が始まると、裁判員は手元を見たり、検察官に視線を向けたりした。被告は口を結び顔を紅潮させ、大森さんの息子は目を閉じている。

     その後も被告の借金や事務所の資金繰りを示すデータなどの証拠調べが続き、裁判員5番の女性は資料をめくりながら聞いた。

     【証人尋問】

     検察側証人で被告の上司だった男性が入廷。被告が個人で借金して事務所の資金繰りに充てていたことなどを証言した。

     150万円、40万円、140万円、10万円―。検察官によると、被告は石谷さんから奪ったキャッシュカードを使い、引き出した約1200万円のうち計340万円を事件後3週間の間に事務所の運転資金に充てた。

     検察官「340万円がなければ資金繰りは?」

     証人「完全にお手上げだったと思います」

     裁判員2番が証人の表情をうかがった。

     反対尋問で、弁護人が石谷さんの人柄を尋ねると、証人は「自分勝手でわがまま。ワンマン」。裁判員4番は弁護人と証人を順に見つめ、ハンカチで口をぬぐった。

     裁判長が「証言内容を整理します」と告げ、裁判員や裁判官はいったん法廷から出たが、2~3分で戻ってきた。

     裁判員1番「恐れ入ります。証人は影山さんの仕事を理解していないようですが」

     証人「それぞれが担当しているので」

     1番「業務はわかっているのですか」

     証人「同じことをやってますから」

     次の証人は被告の元部下に当たる女性。被告からクレジットカードで現金の借り入れを何度も頼まれたことを証言した。補充裁判員の女性が裁判長の元に近づき、何か耳打ちした。

     裁判長「カードでお金を借りて会社の支払いに充てていることをどう思いましたか」

     女性は「大丈夫かな。金が持つんだろうかと思いました」

     裁判長は補充裁判員の女性に向かって「よろしいですか」と尋ね、女性はうなずいた。補充裁判員は直接質問できないので、裁判長に尋問を依頼したようだ。

     午後4時半すぎ、1日目の公判は終わった。たくさんの配布資料をまとめるのに少し手間取っている裁判員もいた。

      【共同通信】